不二製油グループは7月7日、プラントベースフード(植物性食品、PBF)戦略説明会を開き、油脂事業で培ってきた独自の製法を使って「肉」らしい食感を再現した大豆ミート「プライムソイミート」を発表した。同社は、PBF事業を強化し、2030年までに売上高1000億円を狙う。RTRS(持続可能な大豆のための円卓会議)にも加盟し、持続可能な大豆の調達と事業拡大の両立を目指す。(オルタナ副編集長=吉田広子)
■マグロの代替としても期待高まる
世界のプラントベースフード市場は、2020年に294億ドル(約4兆円)だったが、2030年には1619億ドル(約22兆円)にまで拡大すると予測されている。
大森達司・不二製油社長は、「プラントベースフード普及のカギは『おいしさ』にある。『おいしい食の提供』が当社の使命であり、植物性油脂事業で培ってきた技術を生かせる。2030年のあるべき姿として、売上高1000億円、営業利益率10%以上を目指し、植物性油脂、業務用チョコレートに続く『第3の柱』に育てたい」と話した。
プラントベースフードのブランド「GOOD NOON(グッドヌーン)」では、「プライムソイミート」「プラントベースDashi(だし)」「乳原料不使用チョコレート」「プラントベースバター」「プラントベースチーズ」を展開する。
同社が開発した「プライムテクスチャー製法」で作られたプライムソイミートは、肉特有の繊維感とジューシーな口どけが特徴だ。プラントベースだしは、とんこつラーメンブランド「一風堂」で採用されている。
同社には、肉だけではなく、資源枯渇が懸念されるマグロの代替としても期待が寄せられているという。
■RTRSに加盟し、持続可能な調達目指す
一方、牛肉などに比べて環境負荷が少ない大豆だが、森林破壊や人権侵害のリスクをはらんでいる。そこで、不二製油グループは2020年5月、RTRS(持続可能な大豆のための円卓会議)に加盟。2030年までに「コミュニティレベルまでのトレーサビリティ確保、またはRTRS認証品もしくはRTRS認証に準じたその他認証品での調達率100%」を目指す。
原料となる大豆は主に米国で生産されたものを調達し、中国やカナダからも一部輸入している。
鈴木清仁・不二製油グループ執行役員PBF事業部門長は、「特に問題視されている南米産の大豆は調達していないが、大豆生産に伴う生物多様性の喪失などに関しては問題意識を持っている。『米国産だから問題ない』ということではなく、トレーサビリティを確保し、持続可能な調達を進めていきたい」と説明した。