「社内外取締役の情報格差を埋めよ」(大久保和孝)

ガバナンス不全による企業不祥事が後を絶たない。なぜ日本企業のガバナンス改革は進まないのか。上場企業6社の社外取締役を務める、コンプライアンスと危機管理の専門家・大久保和孝氏は、「取締役会のあり方を見直すことから始めるべき」と訴える。(オルタナS編集長=池田 真隆)

言語化と可視化をベースにした「対話」が重要だと言い切る

経営環境の変化が激しい時代における最先端のガバナンスとは何か。まず考えるべきは取締役会とは本来、どういう責任と権限をもち、そこで何をする場なのかを基本に立ち返って考えることです。取締役会は、その企業の「最高意思決定機関」です。

取締役会が十分に機能を果たすためにはどうすべきなのか。

企業の最高意思決定機関であるにも関わらず、社内外の役員同士の十分な議論の機会と時間が確保されておらず、社内取締役が事前に決めたものを予定調和で進めようとするなど、意思決定機関として形骸化している企業も少なくないでしょうか。

他方で、再改訂したコーポレートガバナンスコード(CGC)、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、ESGリスク、経済安全保障など次から次へと新しい経営課題(リスク)に直面し、経営者が対応に追われます。

もはや経営者の経験と鋭い勘だけでは経営判断できないものも増え、意思決定にあたっては様々なステークホルダーとの十分な討議も不可欠な課題もでてきました。

こうした背景もあり、企業の意思決定のあり方が徐々に変わってきています。

特に、山積する経営課題に対して、どの課題を取り上げ、限られた経営資源をどこに優先的に配分するのか、対応すべき課題の優先順位付けも重要な経営判断となってきました。

その際に、第三者として外部視点から社外取締役が意見をすることに対する期待も高まっています。

「社外取締役にも十分な議論がしやすい機会を。取締役会を議論中心の場へ」

では、取締役会を十分に機能させるために、どのようなガバナンス対応をすればよいでしょうか。

一般的には、定時取締役会は毎月1~2回、各回1~3時間開催され、基本的には「決議事項」と「報告事項」で構成されます。

大きな組織や会議体になるほど、基本的な質問や自由闊達な意見が述べにくい「日本的な組織風土」が醸成されている組織も少なくありません。

そうした中、社内取締役が事前に討議して決めたことを、取締役会という、限られた時間の中で、背景や現場の実情を十分に理解しきれていない社外取締役が異論や反対意見(ひっくり返すこと)を述べにくい雰囲気があることは想像に難くありません。

他方で、社内で討議を重ねてきたものを社外取締役が簡単に否定することは経営のスピードを止めかねません。

そこで、大切なことは「決議事項」に上がる前に社内外の役員同士で十分な議論する機会があることです。

効果的な取締役会とするためには、上程する議案(取締役会で意思決定すべき事と議論すべき事)を見直し、取締役会を「説明・報告を主とする場」から「議論するための場」に変革させることです。

何度も言いますが、取締役会は会社法における最高意思決定機関です。常勤でも、社外でも、取締役という法的な立場は同じです。

経営者自ら、社内外の取締役同士が十分に議論できる機会と運営する意志がなければ、取締役会を軽視していると言われても仕方ないのではないでしょうか。

そこで、私の経験から学んだ取締役会を機能させるための4つのポイントをお伝えします。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #ガバナンス

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