ガバナンス・コード策定から10年:サステナ経営迫る

記事のポイント


  1. 2015年の「コーポレートガバナンス・コード(CGコード)」策定から10年を迎える
  2. この10年での企業のガバナンスは、進化を続ける一方で、まだ積み残しの課題はある
  3. 今後のガバナンス改革のキーポイントは何か、後藤敏彦氏に聞いた

2015年の「コーポレートガバナンス・コード(CGコード)」策定から10年。その間、2018年、2021年と2度の改訂を経て、企業のガバナンスは強化・進化を続ける。この10年の評価と積み残した課題、今後のガバナンス改革のキーポイントは何か。特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラムの後藤敏彦代表理事に話を聞いた。(聞き手:オルタナ副編集長=池田真隆、同=北村佳代子)


後藤 敏彦(ごとう・としひこ)氏:

特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン業務執行理事、特定非営利活動法人日本サステナブル投資フォーラム理事・最高顧問、一般社団法人環境パートナーシップ会議理事、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会理事、特定非営利活動法人アースウォッチジャパン理事、特定非営利活動法人環境経営学会特別顧問、一般社団法人地球システム・倫理学会常任理事など。

■日本企業にCGコードが根付き出す

CGコードが策定された2015年当初、論点の一つが社外取締役の経営参画だった。「コンプライ・オア・エクスプレイン(原則を実施せよ、実施しない場合はその理由を説明せよ)」の手法を採用するCGコードでは、その選択を企業に委ねた。

適用されると、当初、反対の論陣を張った経団連の加盟企業もほとんどが社外取締役を導入した。その後、改正会社法で上場企業などに義務化(2021年)した際には、議論になることもなかった。

CGコードは、この10年で制度として根付き出し、日本企業のガバナンスをグローバル基準へと牽引させる機能・役割をそれなりに果たしてきた。一方で、それが有効に機能しているかとなると、企業によって状況はまちまちだ。

社外取締役の導入を例に見ても、ガバナンス全体の視点から何を期待し、どういうクライテリアで人選するかを決めた上で、クライテリアに基づく候補者をリストから絞り込んで選任している企業がほとんどかは疑問だ。

さらに、このプロセスを踏んでも、その人が本当にその企業にとって適任かどうかは、また別の問題だ。

日本全体のコーポレートガバナンスの高度化には、社内外取締役候補となる層の拡充が欠かせない。特に女性の登用不足は日本企業の宿痾(しゅくあ)でハードルは上がる。社内から連続的に女性取締役を輩出するには、取り組み開始から20年は要するだろう。

ビジネスモデルの変革に活かせ

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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #ガバナンス

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