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記事のポイント
- 国連食糧農業機関(FAO)は6月、最新版の「世界漁業・養殖業白書」を発表
- 報告書でブルートランスフォーメーション(海の構造改革)の必要性を訴え
- 水産物の供給量と持続可能性を両立させるための取り組みを重要視
国連食糧農業機関(FAO)は2022年6月、「世界漁業・養殖業白書」を発表した。この報告書でブルートランスフォーメーション(海の構造改革)の必要性を訴えた。水産物の供給量と持続可能性を両立させるための取り組みを重要視した。(新語ウォッチャー=もり ひろし)
白書がまず指摘するのは水産物の需要増加だ。世界の生産量は2020年時点で過去最高の2億1400万トン。うち食料消費される量が1億5700万トンに及ぶ。
一人当たりの年間消費量も1960年代の9.9キロから20.2キロにまで増えた。その影で過剰乱獲などの問題も深刻化した。
一方で適切に管理された水産は、世界の食料安全保障と栄養を支えるポテンシャルも持つ。
鍵となる養殖生産も成長。2020年の生産量は過去最高の1億2260万トンだった(うちアジアは91.6%)。ただし養殖にも環境破壊などの問題があり、その適切な管理が課題だ。
白書が主張する構造改革とは、水産物の供給と持続可能性とを両立させるための取り組みのこと。
具体的には「持続可能な養殖業の強化」「効果的な漁業管理」「社会・経済・環境に配慮したバリューチェーン構築(漁業従事者の労働環境改善などの話題も含む)」の三本柱で構成される。