記事のポイント
- 機関投資家が目覚ましく台頭し、「マネーの質」が様変わりした
- マネーの「量」と「力」で押し切る傍若無人さを先導している
- 一時の利益最大化だけを狙った無責任な代理人運用が社会を滅ぼす
かれこれ51年余り世界の投資運用現場にいて、ずっとマネーの動きを見つめてきた。折しも、その間に年金運用をはじめとして機関投資家が目覚ましく台頭してきた。それとともに、「マネーの質」が様変りした。(さわかみホールディングス社長=澤上 篤人)
マネーの質が様変り?
そう、ひと昔前からみるに、やたらと自分さえ儲かれば良し、後は野となれ山となれの無責任が極立つようになってきた。
それも、運用のプロであるはずの機関投資家が預っているマネーの量と力で押し切る傍若無人さを先導している。
かつては、資金の出し手は資本家と個人銀行家だけと、相場は決まっていた。どちらも自分の私財を投入するから、自ずとバランス感覚やリスク意識が働いた。
事業での儲けは狙うものの、どんな時でも節度というものを守った。もちろん、一時の利益最大化ではなく利益獲得の再現性や、長期的にみて価値が高まるように育てる投資を心掛ける。