記事のポイント
- 作家の田口ランディさんが「マイナンバーカード」を申請
- 役所では暗証番号の登録にてこずる高齢者が多い
- ランディさんは前近代的で不平等な申請制度に疑問を呈する
■エゴからエコへ(71)田口ランディ
法人設立のため銀行口座を開設しようとしたら「個人証明」ができなくなっていた。これまでパスポートで「私は何者か」が証明できたが、私のパスポートは古くて住所記載がないとのこと。
私は車の免許を持っていない。よって「マイナンバーカード」しか個人証明ができないことがわかり、渋々と「マイナンバーカード」を申請した。
さて、約1カ月で「カードができたので取りに行ってください」という通知が来た。役場に行くとやたら人で溢れている。
受け取るだけだからすぐ済むだろうと思って来たが、時間がかかるとのこと。「こちらの用紙に暗証番号を記入してください」と指示される。英字と数字を組み合わせたものと、数字だけの四桁の番号のふたつの暗証番号をその場で考える。
さて、私の住んでいる湯河原町は神奈川県でも一、二を争う高齢化の進んだ町で平均年齢が六十五歳である。役場の中は高齢者で一杯だった。