アレルギー対応に加え、環境負荷やアニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から、植物性食品の需要が高まっている。「植物肉」に続き、「代替卵」も相次いで登場している。キユーピーはアーモンドパウダーベースの加熱用液卵風商品「HOBOTAMA(ほぼたま)」を発売したほか、カゴメはTWO(東京・渋谷)と協業し、野菜ベースの代替卵「Ever Egg(エバーエッグ)」を開発した。(オルタナ副編集長=吉田広子)
カゴメとTWOが共同開発した「エバーエッグ」は、白インゲンとニンジンをベースにした代替卵だ(主原料は食用植物油脂<国内製造>)。
オムライスの卵のような「ふわふわ、とろとろ」の食感は、独自技術「野菜半熟化製法」で実現した。わずかに白インゲンの風味を感じるものの、味も見た目も卵と変わらず、美味しくいただける。
両社は2022年3月、冷凍タイプの「エバーエッグ」とプラントベースのデミグラスソースを発売。2023年4月4日には、常温で1年間保存できるタイプを新発売した。
そのまま電子レンジやお湯で温められるので、手軽にプラントベースフードを楽しめる。オムライスだけではなく、親子丼やカルボナーラ、カニ玉など、さまざまな料理に応用できそうだ。
TWOは、「ヘルシージャンクフード」を掲げ、プラントベースフードのカフェ「2foods」を都内で5店舗展開している。「エバーエッグ」をはじめとしたプラントベースフードは、店舗やオンラインショップで購入できる。全国展開しているスーパーマーケットでも販売される予定だ。
TWOの東義和CEOは「米国では、時に肉や魚も食べる柔軟な菜食主義者『フレキシタリアン』が増えている。日本でも食の多様性が求められるなか、新たな選択肢になれば」と語る。
キユーピーは2022年3月、一般消費者向けに「HOBOTAMA(ほぼたま)加熱用液卵風」と「HOBOTAMA(ほぼたま)スクランブルエッグ風」を発売した。いずれも冷凍品で、賞味期限は1年だ。同社のECサイトなどで購入できる。
液卵風は脱脂アーモンドパウダー(米国製造)、スクランブルエッグ風は豆乳加工品(国内製造)を主原料とし、それぞれ植物油脂が加えられている。
液卵風のものは、卵と同じように加熱して料理に使う。卵よりもほんの少し加熱時間がかかるのと、解凍の手間があるものの、汎用性は高く、より卵に近い使い方ができそうだ。スクランブルエッグ風は、解凍してそのまま食べられる。
いずれもわずかに主原料の素材の風味を感じるが、味も見た目もほぼ卵と変わらない。
卵をめぐっては、「ケージ飼い」による採卵鶏の劣悪な飼育環境が問題になっている。欧州ではケージ飼いの規制が進むが、日本では企業の自主的な動きにとどまっている。ケージ飼いの卵ではなく、「平飼い」の卵を選ぶことが解決策の一つになるが、今後は「代替卵」も選択肢になりそうだ。