原子力規制庁、独立性疑問の船出へ、場所・人事で経産支配?

原子力規制庁が、環境省の外局として今年4月に発足する。これまでの原子力の管理が、原発を重視するエネルギー政策を進めてきた経済産業省の管轄下にある原子力安全・保安院で行われたことが、福島の原発事故の一因となったという批判に応えた措置だ。場所、人事で経産省の影響が残り、新しい組織が適切に機能するか、不安を抱える船出になりそうだ。

原子力規制庁の職員のうち、出向元省庁に戻さない「ノーリターン・ルール」の適用は審議官級以上の7ポストに限定される方向だ。細野豪志環境相・原発問題担当相は1月末の記者会見で「一定クラス以上の幹部職員はノーリターン・ルールを適用しなければならない。とくに推進側からの組織の分離は重要だから、徹底したい」と意向を示したが、それとは違う結果になりそうだ。

また4月からの同庁は経済産業省別館で業務を始める方向だ。入居先選びが間に合わなかったと保安院は説明しているが、原子力安全・保安院の看板を掛け替えるだけ。場所を改めないで清新な政策が実施されることへの疑問もある。(オルタナ編集部=石井孝明)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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