樋口武男・大和ハウス工業会長の「熱湯経営」的CSRとは

■ 新しい住宅でCO2を半減

――環境問題についてはどのようなお考えでしょうか。

いま世界で排出されるCO2は266億トンくらい。自然界が吸収できるCO2の量が115億トンぐらいですから、倍のCO2を出しているわけです。中国の人たちが日本人並みの生活レベルになったら、中国だけで130億㌧ぐらいの排出量になります。そうなると完全に温暖化を通り越して、地球の温度が2~3度上がる。完全に壊滅への道を歩み始めます。

環境、資源、食糧の問題はお互いに関連しており、世界が一体となって対策に取り組まないと地球は持たないでしょう。

――これからは企業経営のなかにも環境の視点がさらに求められてくると思います。御社の戦略は何でしょうか。

弊社のメイン事業は住宅です。例えば構造を25年ぶりにリニューアルして「ジーヴォ」という商品を発売しました。外張り断熱工法の採用で従来より13%CO2を削減できます。それに太陽光発電パネルを搭載しますとCO2をさらに30%削減できます。

いま開発しているリチウムイオン電池は定置式で各家庭に置くことによって、昼間発電した太陽光の電力をリチウムイオン電池に蓄電する。それで不足が起きた場合には夜間電力を使う。

例えば一般標準家庭4人家族で、1日に使う電力の量は12~13キロワット時です。そこで16キロワット時を蓄電しておけば、地震で停電しても蓄電された電力は使える。外張り断熱と太陽光発電にリチウムイオン電池を加えることでCO2を半減できるということは大いなる社会貢献だと考えています。

――環境は日本の高い技術力が求められている分野でもあります。そこは日本企業にとってのチャンスですね。

アフリカで飢餓にひんしている人がたくさんいる。アフリカは大半が砂漠です。砂漠を緑化することで、米や麦ができたらどんなに地域の住民が幸せになるか。先日はそういう面白い研究をしているベンチャー企業の方にお会いして来ました。私にとっても、まだ個人的な夢のレベルですが。

ドバイのゴルフ場は昔、アスファルトでしたが、今では青々とした芝です。海水を淡水化して散水しているのです。その技術は日本の企業によるもので、このように日本は世界に技術を広げていく役割があると思います。

■ 高い志がある若者たちに期待

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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