温室効果ガスの「スコープ1」算出、フロンという落とし穴

記事のポイント


  1. GHG算出のスコープ1は「燃料の燃焼」と例示されていることが多い
  2. そのため、多くの企業はガソリンなど、燃料の使用に関する算出に留まる
  3. しかし、CO2以外のGHGも対象で、特に空調などのフロン類には注意したい

気候関連財務情報開示の義務化が加速しています。2022年の東京証券取引所の再編を契機に、プライム市場上場企業に気候関連の事業リスクの開示が義務化されました。その目的は日本国内だけでなく、グローバル市場も含めた全てのステークホルダーとの対話の促進と、それによる企業価値の向上です。これまで、この動きは主にプライム市場上場企業に向けてのものでしたが、現在は全ての上場企業を対象に広がっています。(株式会社Future Vision代表取締役/オルタナ総研フェロー=大喜多 一範)

SSBJが気候関連情報開示の基準案を策定へ

2023年3月31日以降に終了する事業年度(例:3月決算の企業については、2023年3月期)から有価証券報告書への記載事項にサステナビリティ情報の開示が義務化されました。

続けて、2023年6月26日にISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的な要求事項(IFRS S1)」と「気候関連開示(IFRS S2)」の最終案を公表しました。

日本では、このISSBの最終案を基準として、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)が2023年度中に基準案を策定し、2024年度中に確定基準を公表します。その後開始する事業年度(例:3月決算の企業については、2026年3月期)の有価証券報告書から早期適用される予定です。

これにより、有価証券報告書を提出している全ての企業は、気候関連情報開示が必要となります。情報開示の枠組みは「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」が土台となりますが、これはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言で用いられている枠組みと同様のものです。

「スコープ1」を正しく算出できているか

つまり、有価証券報告書を提出している全ての企業は、TCFDの提言に基づいた情報開示を行う必要があります。そして、気候関連財務情報開示を行う際に最も重要なことは、GHGプロトコルに基づいた自社のバリューチェーン(スコープ1~スコープ3)における温室効果ガス(以下、GHG)排出量の算定を行うことです。

中でも、自社が排出に関与しているスコープ1(直接排出)とスコープ2(間接排出)におけるGHG排出量算出は必須となります。

ここで注意しなければいけない点は、スコープ1に関する認識です。スコープ1に関する要件として「燃料の燃焼」と例示されていることが多いので、スコープ1の算出についてはボイラーなどに使う重油や、車両燃料としてのガソリンなど、燃料の使用(燃焼)に関する算出に留まっている事例が多く見られます。

GHGプロトコルとフロン排出抑制法

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #脱炭素

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