記事のポイント
- 英国は2024年7月までにISSB準拠の開示基準をつくる
- 作成する開示基準は「義務化」も視野に入れている
- シンガポールも25年から全上場企業に義務化する方針だ
英国は24年7月までにISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の新サステナ開示基準に準拠した開示基準をつくる。開示基準は承認されたのち、義務化することも視野にいれる。各国で基準づくりが始まっていて、シンガポールも25年に全上場企業に義務化する方針だ。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

英国は、ISSBのS1(一般サステナビリティ開示事項)、IFRS S2(気候関連開示事項)に準拠したサステナビリティ開示基準(UK SDS)の策定作業を行う。
策定された基準が承認されたのち、法律などでの義務化も視野にいれる。IFRSの基準に則った英サステナ開示基準を策定することで、投資家がグローバルで企業を比較して判断できるようにする。
■英国のサステナ開示基準、「義務化に道すじ」
GHG削減支援などに詳しい、Permanent Planet(神奈川・逗子)コンサルタントの園田隆克氏はUK SDSのポイントについて「義務化の道筋をつけたこと」だと指摘する。各国で基準作りが進むが、義務化に踏み込むケースは少ない。
英国以外にも義務化に向けた動きはある。報道によれば、シンガポールは2025年度(1~12月)から全ての上場企業に対して、基準に沿った情報開示を義務付ける方針だという。10億シンガポールドル(約1075億円)以上の売上高を持つ非上場企業についても、遅くとも2027年度までに義務化するという。
日本では、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が日本版基準の策定を進める。当初は任意になるとみられるが、園田氏は「有価証券報告書の非財務情報開示項目のなかに組み込まれる可能性がある。そうすれば、上場企業にとっては事実上の義務化だ」と指摘した。