国連選出の「SDGパイオニア」表彰、8年間で日本人はゼロ

記事のポイント


  1. 国連グローバル・コンパクトが2023年の「SDGパイオニア」12人を発表した
  2. 毎年、SDGs達成に向け特段の功績があった個人を選出し表彰するもの
  3. 過去8年で36か国から71人が選出されたが日本人は1人もいなかった

国連グローバル・コンパクトは9月20日、2023年の「SDGパイオニア」12人を表彰した。「SDGパイオニア」は、国連グローバル・コンパクト署名企業の中から、SDGs達成に向けて並外れた功績があった個人を表彰するものだ。2016年以来、36か国から71人が選出されたが、日本からの選出はこれまで1人もいない。(オルタナ編集部・北村佳代子)

国連グローバル・コンパクトは「SDGパイオニア 2023」を発表した

国連グローバル・コンパクトのサンダ・オジャンボCEO兼エグゼクティブ・ディレクターは以下の通り、選出者らを称える声明を出した。

「『SDGパイオニア』プログラムは、新たなテクノロジー、取り組み、ビジネスモデルを通じて、2030年までのSDGs達成を可能にするソリューションを推進し、イノベーションを打ち出す献身的なプロフェッショナルを表彰するものだ」

「『SDGパイオニア』の方々が、周りの人々を鼓舞しながら、活動を通して、人権、労働、環境、腐敗防止などの国連グローバル・コンパクトの10原則を実践し、グローバル目標の達成に向けて前進することを期待する」

■「SDGパイオニア」を過去最も輩出した国はブラジル

「SDGパイオニア」プログラムは、2016年から選出が始まった。しかし2020年は新型コロナウィルス感染症の影響で、グローバルではなくローカルでの「SDGパイオニア」16人の選出となった。そのため2020年を除くグローバルベースでの選出は、過去8年で36か国から計71人の選出となった。

71人の中で、最も多く「SDGパイオニア」を輩出した国はブラジルだ。ブラジルは過去7人が選出され、そのうち6人を女性が占めた。2023年は、人事コンサル企業アルバシェ・イノベーションズのアナ・ポーラ・アルバシェ創業者兼CEOが選出された。

ブラジルに続いて多いのは英国の5人だ。2023年も英国から、スローター・アンド・メイ法律事務所レスポンシブル・ビジネス(責任ある事業活動)ディレクターのウズマ・ハミッド・ディジアー氏が選ばれた。

過去に4人が選ばれた国は、米国、バングラデシュ、シンガポール。過去に3人が選ばれた国は、レバノン、オランダ、フランスだ。2人が選ばれた国は、ケニア、ブルガリア、メキシコ、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、カナダ、インドネシア、エジプトだった。

日本からの選出者はこれまでにない。

■「SDGパイオニア」が選ばれる仕組みとは

「SDGパイオニア」は、国連グローバル・コンパクトに署名した会員企業の中から選ばれる。会員企業の従業員であれば、自薦または他薦の両方で応募が可能だ。

国連グローバル・コンパクトに署名している日本企業は、2001年のキッコーマンを皮切りに、2023年9月25日現在、580社に上る。

「SDGパイオニア」に選ばれるためには、前年10月1日時点で国連グローバル・コンパクトに署名しており、署名企業が毎年提出する「CoP(コミュニケーション・オン・プログレス)」を少なくとも1回は提出済みであることが条件だ。

「CoP」とは、経営トップが国連グローバル・コンパクトへの継続的な支持を表明する「CEOデジタル宣誓書」と、約60問にわたって人権・労働・環境・腐敗防止およびガバナンスに関して自社の取り組み状況を回答する「オンライン質問票」の2点だ。

2023年の「SDGパイオニア」の申し込みは2023年5月15日に締め切られた。

■2023年に選出された「SDGパイオニア」12人の顔ぶれ

アフリカ

  • ファニロ・ラコトヴァオ・ラコトアリソン氏(マダガスカル)
    アクシアン・グループのソーシャル・インパクト・ディレクター(大企業および多国籍企業部門)
  • キャサリン・ギチュング氏(ケニア):カリー・フローラ社(中小企業部門)

アジア・オセアニア

  • M.A.ジャバー氏(バングラデシュ):DBLグループのマネージング・ディレクター(大企業および多国籍企業部門)
  • ヴィーラッパン・スワミナタン氏(シンガポール):サステナブル・リビング・ラボ社(中小企業部門)

東欧

  • スピロス・ノミコス氏(ブルガリア):ソルヴェイ・ソディ社(大企業および多国籍企業部門)
  • エテリ・チャチバイア氏(ジョージア):MFI MBC社COO(中小企業部門)

中南米

  • アンドレア・アモズルーチア・カシリャス氏(メキシコ):グルポ・エルデス社のファイナンス・アンド・サステナビリティ・ヘッド(大企業および多国籍企業部門)
  • アナ・ポーラ・アルバシェ氏(ブラジル):アルバシェ・イノベーションズ創業者兼CEO(中小企業部門)

中東

  • シェイ・バリク氏(イスラエル):シュトラウス・グループ社のグローバル・サステナビリティ&エシカル担当ディレクター(大企業および多国籍企業部門)
  • ロア・クルディ氏(レバノン):ビーズライン社の生物多様性スペシャリスト兼サイエンスライター(中小企業部門)

西欧および北米

  • ウズマ・ハミッド・ディジアー氏(イギリス):スローター・アンド・メイ法律事務所のレスポンシブル・ビジネス(責任ある事業活動)ディレクター(大企業および多国籍企業部門)
  • エヴァ・グーウェンス氏(オランダ):フェアフォン社CEO(中小企業部門)
北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #SDGs

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