齊藤 紀子(企業と社会フォーラム(JFBS)事務局長)
持続可能な社会経済が求められる今日、企業と社会の関係、企業の役割や責任に関する議論が活発化しています。2000 年代には、ヨーロッパ・北米の主要大学やビジネススクールが、企業と社会の関係を研究するセンターを次々と立ち上げています。
これまではビジネスセクターがCSRの取り組みを積極的に進めてきました。
その一方で、この領域の研究者は少なく、まだこの領域を広く議論するアカデミックな場もなく、アカデミックな議論や理論研究は決して充分とは言えない状況にありました。
また企業と社会という領域は、理論、実践、政策と多面的に考えていく必要があります。こういった認識のもと、一橋大学大学院の谷本寛治教授(当時)を中心として多様なセクターから約30人のメンバーが集まり、2009年3月、私的研究会(FBS)が発足しました。
専門化と総合化の両方を
この研究会での議論・経験からアカデミック・ソサエティの必要性が求められ、その後2011年5月、約200人の発起人によって学会「企業と社会フォーラム」が設立されました。
本学会は学界人のみならず、産業界、行政、労働界、消費者団体、NPO/NGO など多様なセクターの人々から構成されており、マルチ・ステイクホルダーで日本の企業社会を考える場を目指しています。対象とする研究領域は「企業と社会」として、以下のような実に幅広いテーマを扱います。
・企業と社会の関係、持続可能な発展、公共政策
・CSR 経営、経営戦略、コーポレート・ガバナンス、経営倫理、コンプライアンス
・環境経営、環境会計、環境保全
・ステイクホルダー・エンゲージメント、情報開示/報告書
・ソーシャル・ビジネス/ マーケティング、BOP ビジネス、社会的企業(家)ソーシャル/ グリーン・イノベーション
・マルチ・ステイクホルダー・プロセス、グローバル・ガバナンス、国際基準・規格
・国際比較 など。