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記事のポイント
- 「世界の10大リスク」2025年版で14年ぶりに「Gゼロ」化の懸念があがる
- 「Gゼロ」とは、G7などの「世界をリードする勢力」に存在感がないことだ
- 冷戦後の国際秩序にロシアを組み込めていないことや中国の民主化が実現しないことなどが背景に
コンサルタント会社のユーラシア・グループは毎年1月、世界の10大リスク(以下、報告書)を発表している。その2025年版が、世界の「Gゼロ」化の懸念を14年ぶりに取り上げた。 (新語ウォッチャー=もり ひろし)
Gゼロとは同社を設立した政治学者ブレマーらの造語で、G7などの「世界をリードする勢力」に存在感のない世界のこと。国際秩序を維持する意思を持つ国家がない状況をいう。
同概念の誕生には「G20(主要20か国)の機能強化」も影響を与えた。G20ではリーマン危機を背景に2008年から財相会議に加えて首脳会議も開始。G7の指導力が相対的に下がったが、そのG20も代替的な指導力を発揮できていない。
報告書はGゼロ化の原因として①冷戦後の国際秩序にロシアを組み込めていないこと②中国で民主化が実現していないこと③民主主義先進国の市民にグローバリズムへの支持が広まらなかったことの3点を挙げる。③は米トランプ政権の自国第一主義にもつながった背景でもある。
報告書は今後のシナリオも指摘した。なかでも「2025年に各国の努力が最も費やされる」としたのが「旧体制の破壊と力による新ルールの強制」であった。