民主主義の危機を「金融」は救えるか、高崎経済大学長が語る

記事のポイント


  1. 世界各国でサステナビリティやESGへの逆風が吹く
  2. 背景には、民主的な価値観を否定する「民主主義の危機」がある
  3. 「サステナブルファイナンスは社会の分断の修復を目指すべき」と専門家

米国を中心にサステナビリティやESGが逆風にさらされている。その背景には、民主的な価値観そのものが崩れかねない「民主主義の危機」がある。サステナブルファイナンスに詳しい高崎経済大学の水口剛学長は、「民主主義という社会・経済の基盤を壊してはいけない」と警鐘を鳴らす。(聞き手・オルタナ輪番編集長=池田真隆)

水口 剛(みずくち・たけし)高崎経済大学学長: 筑波大学卒。商社、監査法人などを経て、1997年高崎経済大学経済学部講師。2008年教授、2017年副学長を経て、2021年から現職。専門は責任投資(ESG投資)、非財務情報開示。環境省「グリーンファイナンスに関する検討会」座長、金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議」座長などを歴任。主な著書に『ESG 投資-新しい資本主義のかたち』(日本経済新聞出版)など。

第二次トランプ政権では「自国第一主義」を全面に押し出し、国際秩序の維持よりも、自国の利益の最大化を狙う。各国に一方的な関税を課すなど世界に波紋が広がっている。

トランプ政権は、前政権が推進してきた「DEI(多様性、公平性、包摂性)」も真っ向から否定する。連邦政府のDEIプログラムを廃止する大統領令に署名し、DEIを推進する企業や組織に政治的な圧力を強める。

政権の圧力に抵抗するハーバード大学に対しては、助成金を凍結し、留学生の受け入れ資格の認定も取り消そうとした。欧州でも「反移民」を掲げる政党が支持を集めている。多くの人はこれを「民主主義の危機」だと考える。

ところが、「民主的なプロセスで選ばれたトランプ大統領を見て、民主主義の危機だと思うのは、ある種のエリート主義だ」と言う人がいる。本当にそうだろうか。

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民主主義は単なる「多数派支配」ではない
資本市場の民主化、サステナブルファイナンスの原点に
ESGを巡る「揺り戻し」は何度も繰り返してきた
相次ぐ異常気象に、強力な規制の導入も
社会の分断の修復につながるインパクトを

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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