再エネの需給を時間単位で管理、アワリーマッチングとは

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記事のポイント


  1. 電力の脱炭素化に向けて「アワリーマッチング」という概念が注目される
  2. これは消費する電力を同じ時間帯・地域に発電するクリーン電力でまかなうこと
  3. 18年にグーグルが提唱、GHGプロトコルでも取り込む見当が進む

電力脱炭素化の観点で、アワリーマッチング(時間単位の対応づけの意)の概念が注目されている。従来的な年間マッチングに代わる手法だ。(新語ウォッチャー=もり ひろし)

年間マッチングは、電力の需要家(企業など)が年間総消費と同量のグリーン電力証明書を購入する手法のこと。これにより需要家は再エネ100%を主張できる。

だがこの方法だけではCO2排出量を実質的に減らす力学がまだ十分に働かない。例えば昼間の太陽光発電が過剰になる一方で夜間の再エネ発電が手薄になり、CO2排出の残留要因となる。

そこでアワリーマッチングでは、その時間帯・地域で消費する電力を「同じ時間帯・地域で発電するクリーン電力」でまかなう。これにより、例えば夜間の再エネ発電への投資が促される。

この概念は2018年にグーグルが提唱した。実装に向けた技術的な基盤(スマートメーターなど)が整ったことも大きい。GHGプロトコル(排出量算定・報告の国際基準)でも、同概念を取り込む検討が進む。

しかし各需要家がこの仕組みに対応するためのコストも無視できない。「コストへの忌避がむしろCO2の残留排出量を増やすのでは」とする懸念もある。

morihiroshi

もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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