アサヒユウアス、「循環タンブラー」で海洋プラ問題に挑む

記事のポイント


  1. アサヒユウアスが海洋生分解性バイオマスプラを使ったタンブラーを開発
  2. 丈夫で割れにくいため、海辺などのアウトドアや野外イベント向けの商品だ
  3. 海洋生物などに影響を与える海洋プラごみ問題は国際的な課題の一つだ

アサヒユウアス(東京・台東)は10月2日、海洋生分解性バイオマスプラスチックを100%使ったタンブラーを開発した。丈夫で割れにくいため、海辺などのアウトドアや野外イベント向けの商品だ。海洋生物や生態系に深刻な影響を与える海洋プラスチックごみ問題は国際的な課題の一つとして注目されている。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

カエループタンブラーは海中の微生物によって、数年間で水と二酸化炭素に還元する

アサヒユウアスは、アサヒグループのサステナビリティ事業を展開することを目的に、2022年にできた会社だ。リユースカップの「森のタンブラー」や「森のマイボトル」、コーヒーの副産物のアップサイクルに取り組む「Coffeeloop(カフェループ)プロジェクト」を展開する。事業を通して、使い捨てプラスチックの削減などに取り組んできた。

同社がこのほど立ち上げた新ブランドが「KAELOOP(カエループ)」だ。同ブランドの第一段商品として、タンブラーを開発した。セルロースなどの植物由来の素材と酢酸を合わせた「酢酸セルロース樹脂」という素材を使った。

この素材は海洋生分解性のバイオマスプラスチックであり、海中の微生物によって、数年間で最終的に水と二酸化炭素に還元するという。

サステナX

同タンブラーは、一般社団法人日本バイオプラスチック協会(東京・中央)の「海洋生分解性バイオマスプラ」の認証を取得している。同協会における食器での認証取得は日本で初めて。

海洋生分解性のものだが、同社としては海や川などに廃棄することを推奨してはいない。自治体の規定に沿って、プラスチック資源として回収することを推奨しており、万が一、海や川に流出しても数年で分解されることを想定している。

2026年の販売目標「22万個」掲げる

タンブラーは290ml(1540円)~460ml(1650円)の4サイズ。丈夫で割れにくいため、海辺のイベントや野外イベント、BBQ・キャンプなどのアウトドアシーンでの使用に適している。

10月2日からアサヒユウアスのECサイトで販売を始めた。年内に飲食店など10社での導入を目指す。2026年は一年間で22万個の販売目標を掲げる。

アサヒユウアスの古原徹・たのしさユニットユニットリーダーは、「会社の軸となる事業を整理した時、カエループタンブラーの取り組みは重要な事業になる。今後主力商品として育てていきたい」と意気込む。

同社は2022年1月にできた会社で、事業を通した社会課題の解決を目指す。売上高は非開示だが、2026年中の黒字化を見込む。

ブルー・フロント・シバウラでカエループタンブラーの展示・販売を10月31日まで行っている
ローソン高輪ゲートウェイシティ店では10月31日まで展示を行う

カエループタンブラーは、10月24日から26日に中目黒で開くクラフトビールイベント「なかめぐるクラフトビアフェスト2025」で販売する。このビアフェスはごみゼロを目指したもので、11月中旬までクラウドファンディングサイトで資金を集めている。

BLUE FRONT SHIBAURA(ブルー・フロント・シバウラ、浜松町)のGREEN DINING HALL(グリーン・ダイニング・ホール)やローソン高輪ゲートウェイシティ店でも、10月3日から31日まで商品の展示と販売を実施する。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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