記事のポイント
- 国際NGOが日本自動車工業会のロビーイングの実態を調べた
- 調査の結果、自工会は世界の気候変動政策に反発していたことが明らかに
- 自国以外の政策にも反発することは各国の自動車団体の中でも異例だという
国際NGOのインフルエンス・マップ日本支部は11月20日、日本自動車工業会(以下、自工会)のロビーイングの実態を調べたレポートを発表した。調査の結果、自工会は日本だけでなく、EUやブラジルなど海外の気候変動政策にも反発していたことが明らかになった。自工会は「マルチパスウェイ」を掲げ、脱炭素関連の一部規制に反対の立場を取るが、自国以外の政策にも反対の声を上げることは各国の自動車団体の中でも異例だという。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)
英国の非営利シンクタンク「インフルエンス・マップ」は、自工会や加盟企業のロビーイングの実態を調べた。その結果、日本の主要自動車メーカーで構成される自工会が、世界各国の気候変動関連政策に対して働きかけを強めていることが分かった。
トヨタ、ホンダ、日産、スズキなどが加盟する自工会は、電動化一辺倒ではなく、多様な技術で脱炭素化を目指す「マルチパスウェイ」戦略を掲げ、主要国の環境規制に対して積極的に意見表明を行う。
インフルエンス・マップは、自国だけでなく他国の政策にも影響を与える動きは、欧州自動車工業会や米国自動車イノベーション協会と比べて「異様」と指摘した。
■自工会、自動車税「環境性能割」の撤廃を訴え
自工会が強く訴えているのが、「自動車税環境性能割」の廃止だ。環境性能に応じて車両の本体価格の0〜3%を課す地方税で、年間約1900億円の税収を生むものだ。
課税対象は新車・中古車の双方だが、バッテリー式電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)は非課税となっている。
自工会は「消費者負担の軽減」と「市場の活性化」を理由に撤廃を求め、2025年度の税制改正要望でも明確に廃止を主張した。
■EUの「ゼロエミ政策」にも反対姿勢を示す
■COP30に合わせて「マルチパスウェイ」を広げる
■バイオ燃料は非効率で環境リスクが高いことも

