神奈川県内で若者と地域工務店が連携し、脱炭素住宅の普及へ

記事のポイント


  1. 神奈川で若者と建築関係者が、住宅の脱炭素に向けたネットワークを立ち上げ
  2. 地域工務店のほか再エネ電力会社、生活協同組合、市民団体など52団体が賛同
  3. 連携は全国初と見られ、断熱性能向上や再エネ普及を後押ししたい考え

神奈川の若者を中心とした「かながわ脱炭素市民フォーラム」はこのほど、県内の建築関係者とともに住宅部門の脱炭素を目指すネットワークを立ち上げた。地域工務店を中心に再エネ電力会社、協同組合、市民団体など52団体が賛同者に名を連ねる。若者と建築関係者による連携は全国初と見られ、情報発信やイベントを通して断熱性向上や再エネ普及を後押しする。(オルタナ副編集長=長濱慎)

フォーラムのメンバーと賛同者(11月25日、横浜市内で)

■大学生ら若者が中心になって呼びかけ

「かながわ脱炭素市民フォーラム」は2024年1月、県内で気候変動問題に取り組む市民団体が集まり結成。活動メンバー39人の過半数を20代から30代が占め、大学生も多い。

24年12月には横浜市で「かながわユース気候会議」を開き、全ての住宅に対して断熱性能と太陽光発電の設置有無の表示義務を求めるなどの提言を発表。今年6月からは「私たちの『家(地球)』を守る家づくり」と銘打ったキャンペーンを展開し、現在までに52団体が賛同した。

賛同団体には地域工務店を中心に、再エネ電力会社のハチドリソーラーやあつぎ市民発電所、協同組合の「生活クラブ」や「パルシステム」、市民団体の「ゼロエミッションを実現する会」や「脱炭素かわさきを進める市民の会」などが名を連ねる。

■地域工務店もカバーする制度設計が必要

活動メンバーの一人で大学生の川口桃瑚(ももこ)さんは、現状の課題をこう話す。

「国のトップランナー制度では省エネ・断熱基準と太陽光発電の設置が努力義務とされているが、対象は大手ハウスメーカーの戸建住宅のみ。脱炭素住宅を増やすには、地域工務店の家や集合住宅もカバーするプラスアルファの制度設計が必要だと考えている」

賛同団体の1社で逗子市の工務店・中田製作所の中田理恵取締役は、こう連携に期待を込める。

「地域工務店には人、モノ、資金、情報、時間が不足している。皆で普及に取り組んで脱炭素住宅をスタンダードにすることが、優れた性能の住宅をコストパフォーマンス良く届けることにつながる。こうした流れの中で工務店も利益を出せるウィンウィンな家づくりを神奈川から普及させたい」

今後はフォーラムと賛同団体で連携し、イベントの開催などを通して県行政と建築業界、県民が交流し課題を共有できる機会を提供したいという。

S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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キーワード: #脱炭素

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