記事のポイント
- 水産庁によると、アジやサバ、ブリなどの漁業資源が危険水域にある
- 乱獲や過剰な漁獲に加え、気候危機による海水温の上昇が悪影響を与えている
- 厳密な資源管理と、気候変動適応策の充実が極めて重要になる
水産庁がこのほど公表した日本沿岸の水産資源についての評価結果で、アジやサバ、ブリなど、日本人になじみの深い漁業資源が危険水域にあることが明らかになった。乱獲や過剰な漁獲に加え、気候危機による海水温の上昇が悪影響を与えている。科学と予防原則に基づく厳密な資源管理と気候危機の影響を視野に入れた適応策の充実が極めて重要になる。(オルタナ論説委員=井田徹治)

「アジやサバ、ブリの資源は危険水域にある」。
水産庁による最新の資源評価で、日本沿岸の水産資源の多くで厳しい状況が続いていることが明らかになった。多くが古くから日本の庶民に親しまれてきた魚だ。
乱獲や過剰な漁獲に加え、気候危機を原因とする海水温の上昇など海の環境変化が多くの漁業資源に悪影響を与えている。
日本の漁業資源管理は、70年ぶりの大改正と言われた改正漁業法が2020年12月に施行され大きく変わった。科学的な根拠が乏しかったそれまでの資源管理を改め「資源調査に基づいて、資源評価を行い、漁獲量がMSYを達成することを目標として資源を管理する、国際的に見て遜色のない科学的・効果的な評価方法及び管理方法を導入する」とされた。
MSYとは「最大持続生産量」の英語の頭文字を並べたもので、資源を減らすことなく長期的に得られる最大の平均漁獲量のことを言う。MSYを基準に、資源の自然回復力を利用し、魚の成長と加入量が最大になる水準で資源管理することで、末永く持続的な漁業を可能にすることを目指す。
MSYは資源管理上の重要なキーワードで、これに基づく資源管理が国際的に標準的な手法となっている。
改正漁業法では、持続的な水産資源確保のため、MSYを達成する資源水準を「目標管理基準値」と定める。さらに乱獲を防ぐための「限界管理基準値」を定め、この値を下回ったら、目標管理基準値まで回復させるための「資源再建計画」を定めることになった。

