記事のポイント
- 熊本地震で、災害用の移動式トイレトレーラーが被災地へ派遣された
- 燃料不要で長期利用できる点が一般的なトイレカーと大きく異なる
- 能登半島地震では、上下水道の復旧遅れで2年間にわたり利用された
熊本地震の被災地で、災害用の移動式トイレトレーラーが派遣されている。燃料を必要とせず、安全に長期間設置できる点が特徴だ。能登半島地震では約2年間にわたり利用され、上下水道の復旧が長引くなか、被災者だけでなく復旧作業員やボランティアのトイレ確保を支えた。災害時のトイレは発災直後だけでなく、復旧まで見据えた備えが求められている。(オルタナ編集部・川原莉奈)

2011年の東日本大震災で深刻化したのが、避難所のトイレ問題だ。断水でトイレが使えず、排せつを我慢して食事や水分を控える人もいた。
こうした経験を背景に、JPホームサプライ(東京・中央)は2016年、災害用トイレトレーラーを企画し、同年の熊本地震にも完成直後の車両を派遣した。今回の熊本地震では、8月7日時点で7台を派遣している。
トイレトレーラーはエンジンを搭載せず、ガソリンやオイルを必要としない。洋式水洗トイレに換気設備や洗面台を備え、ソーラーパネルで照明や水洗設備を動かせる。清水約400リットル、汚水約800リットルを貯められ、長期間設置できる点も特徴だ。

同社によると、能登半島地震ではさまざまなタイプのトイレが支援に入ったが、タンク容量の不足などから早期に利用を終えたケースも多かったという。
一方、トイレトレーラーは大容量のタンクを備え、給水や汲み取りの頻度を抑えながら、能登では約2年間利用された。上下水道の復旧が長引くなか、被災者だけでなく、復旧作業員やボランティアのトイレ確保も支えた。
利用者からは「独立した個室で安心して使える」「清潔で広く、女性や高齢者も使いやすい」との声が寄せられた。自治体職員からも「給水や汲み取りの頻度が少なく助かった」と評価されたという。
全国に配備されているトイレトレーラーは現在62台にとどまる。同社は、南海トラフ地震のような広域災害には「全く十分とは言えない」とし、台数の増加だけでなく、平時から自治体間で派遣先や輸送、人員の体制を整える必要性を指摘している。


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