シラスウナギの豊漁? 低価格な「国産」ウナギを支えるブラックなIUU漁業

記事のポイント


  1. 2026年の土用の丑の日、メディアは「ウナギは豊漁で価格が安い」と報じた
  2. 国内漁獲量の3割超のシラスウナギを香港から輸入し「国産」として出回った
  3. だが香港にシラスウナギ漁は存在せず、中国・台湾の密輸品と指摘されている

2026年の土用の丑の日、「ウナギは豊漁で価格が安い」とメディアは報じた。だが、大きな漁獲量のあった過去に比べると、「豊漁」と呼ぶには程遠い。今年はシラスウナギの国内漁獲量の約3分の1を、香港から輸入し、それらが「国産」として出回った。だが香港にシラスウナギ漁は存在せず、中国・台湾の密輸品と指摘されており、ブラックなIUU(違法・無報告・無規制)漁業が、ウナギの低価格を支えている構図に変わりない。(オルタナ論説委員=井田徹治)

ウナギの低価格を支えているのはブラックなIUU漁業だ

「今年のウナギは豊漁で価格が安い」「大手スーパーでは2割は安いお手頃価格だ」。2026年7月26日、夏の土用の丑の日、ウナギに関する報道は例によって、こんな調子のものばかりだった。

昨年から今年にかけての国内のシラスウナギの漁獲量は、その前の2回の漁期に比べてやや多かったものの「豊漁」と呼ぶにはほど遠いことは以前にもオルタナで指摘した通りだ。

過去に大きな漁獲量があった状況に目をつぶり、最近の状況を基準にして「豊漁だ」「資源が回復している」などを主張することの誤りを、カナダの著名な漁業資源学者、ダニエル・ポーリー博士は「Shifting baseline syndrome(基準移動症候群)」と呼んだ。今年の丑の日のシラスウナギ豊漁報道は、まさにこの症候群である。

かねてから指摘されていた国内のシラスウナギをめぐる不透明な状況も依然として続いている。日本では、日本の養殖池に入れられた国産シラスウナギの池入れの推定量に比べて、漁業がある都道府県知事に報告される漁獲量が少ないという状況が長く続いていることが指摘されてきた。

シラスウナギの「IUU(違法・無報告・無規制)漁業」が常態化しているのだ。2017年には報告漁獲量が8.4トンだったのに対し、池に入れられた量は15.5トンと2倍近くにもなったことが大きな話題となった。

昨年から今年にかけての漁期の池入れ量は推定で13トンだったのに対し、25の都道府県に報告された漁獲量は11.8トンに留まった。今年も国産シラスウナギの約1割は無報告の漁獲だったことになる。

国は、2025年12月から、国産のシラスウナギを水産物流通適正化法の対象とし、漁獲証明の添付などを義務づけた。違反した場合は、最大で3年以下の懲役または3000万円以下の罰金とかなり厳しいものなのだが、法律の実効性に大きな疑問符が付く状況だ。

「香港から輸入」の怪

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井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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