サナエノミクス「370兆円」成長戦略は産業界ファースト

記事のポイント


  1. 高市政権の成長戦略は、40年までに官民で370兆円超の資金を投じる大規模な産業政策だ
  2. だが日本の経済政策は産業界にばかり重きを置き、個人や生活者は置いてきぼりだ
  3. ゼロ金利政策も企業には干天の慈雨となったが、個人消費の大きな減退につながった

日本の経済政策は、産業界にばかり重きを置き、個人や生活者は置いてきぼりだ。ゼロ金利政策も企業には干天の慈雨となったが、個人消費の大きな減退につながった。もし、通常の金利水準で自由に3%成長させていたら、一体どんな産業が伸びていったであろうか。(さわかみホールディングス社長=澤上 篤人)

今こそ個人消費で経済成長を

高市政権の唱える成長戦略だが、お役人の作文に近いといったら失礼にあたるだろうか。2040年までに官民で370兆円を超す資金を投じるという、かつてない大規模の産業政策が報じられている。官民挙げて日本経済を活性化させていくというお題目は満点である。

だが、またぞろ大学発ベンチャーのように打ち上げ花火に終わらないだろうか。大学発のビジネスの種を国が助成するということで華々しく話題となったものの、一体どれだけのものに育っただろうか。

ふり返るに、あれだけ大きく話題となったアベノミクスも、デフレ脱却を一大目的とした。そのためにはと、ゼロ金利政策でもって産業界に積極投資を求めた。また、日銀による株式ETF購入で株価上昇を下支えして、企業経営を支援すると同時に資産効果による景気回復を狙った。

たしかに、アベノミクスが功を奏してデフレ現象は克服した。しかし、その間に日本経済はどれだけ活力を取り戻したのだろうか。現在に至るまで、ずっと言われ続けてきたのが、日本企業の生産性の低さではなかったか。

どうも日本の景気対策をはじめ経済政策は産業界にばかり重きを置き、国民に自助自立の気概をもった経済活性化を求める考えはないようだ。それどころか、国民をどんどん他力本願で国頼みのユデガエル状態に追いやるばかり。

たとえば、黒田前日銀総裁による異次元の金融緩和政策。あれが個人消費をどれだけ減退させてきたことか。その結果として、日本経済の成長率をどれだけ落としてしまったことか。そのあたりの検証も反省もまったくない。

■ゼロ金利政策が追い打ちに

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sawakami

澤上 篤人(さわかみホールディングス社長)

さわかみホールディングス社長。1973年、ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。1980年─1996年、ピクテジャパン(現・ピクテ投信)代表。1999年に日本初の独立系投資信託会社さわかみ投信設立。

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キーワード: #オルタナ86号

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