記事のポイント
- 水素製造の由来を色で呼び分けて製法が異なることを意識する考え方が広がる
- 英語圏では「水素の虹」と総称、グレー・ブルー・グリーンが特に重要だ
- 原発を活用するピンクや褐炭からつくるブラウン、石炭からのブラックも
CO2排出量削減の観点で水素社会が提唱されて久しい。燃焼時にCO2を排出しない、電力を変換して貯蔵できる、といった水素の利点をエネルギー基盤に持ち込む考え方だ。(新語ウォッチャー=もり ひろし)

だが水素の製造時にCO2を排出するのでは意味がない。そこで水素を色で呼び分け、異なる製法を意識する考え方が広まった。英語圏ではhydrogen rainbow(水素の虹)と総称する。
特に重要なのはグレー・ブルー・グリーンの三色だ。
グレー水素は現在主流の製法の水素。化石燃料から水蒸気改質で水素をつくる方法で、CO2の排出を伴う。このCO2を回収するとブルー水素となる。一方グリーン水素は、水を再エネ電力で電気分解してつくる。ただしブルー、グリーンともコスト高が課題だ。
このほかターコイズ水素はメタンの熱分解で作る水素のこと。化石燃料由来ではあるが炭素が固体で取り出せる。ただし研究途上の技術だ。ピンク水素は原発電力で水を電気分解してつくる水素。ブラウン水素は褐炭から、ブラック水素は石炭からつくる水素を意味する。
ただしピンク以降の水素は、立場によって別の色で呼ばれることもあるので注意したい。