記事のポイント
- 気候変動対策や持続可能な調達を求め、株主提案を行うNGOが増えている
- トヨタ自動車の株主総会では、環境NGOがEV転換の早期推進を求めた
- 動物の権利擁護団体であるPETAは味の素に動物実験の廃止を訴えた
株主総会シーズンが佳境を迎えるなか、気候変動対策や持続可能な調達を求め、株主提案を行うNGOが増えている。トヨタ自動車の株主総会では、国際環境NGOのグリーンピース・ジャパン(東京・新宿)が株主として、2050年までのネットゼロ実現に整合するEV転換の早期推進を求めた。(オルタナ編集部)
(目次)
■ 株主やNGOがトヨタの気候変動対策を批判
■ 電力大手に株主提案で脱炭素・脱原発訴える
■ 東京海上HD、東アフリカの原油計画に関与の疑い
■「持続可能なパーム油」調達、日清に目標の前倒し求める
■ 味の素が食品で動物実験、動物保護団体が廃止を求める
気候ネットワーク(京都市)は2020年、みずほフィナンシャルグループに対し、パリ協定の目標に沿った投資を行うための経営戦略を記載した計画を開示することを求めた。これが、日本初の気候変動関連株主提案だとされている。
■ 株主やNGOがトヨタの気候変動対策を批判

トヨタ自動車は2023年、18年ぶりに株主総会で株主提案議案を出した。
欧州の運用会社3社が、トヨタの気候変動対策を不十分とし、パリ協定との合致について精査・報告する定款変更を求めた。米最大の運用資産規模を持つカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)などの機関投資家も支持に回った。
グリーンピース・ジャパンは同社の株主総会に合わせ、6月14日、本社前でEVへの転換加速を求める街頭アクションを実施した。その後の株主総会にも株主として出席した。
豊田章男会長は2022年に「自動車業界のサイレント・マジョリティ―(声を上げない多数派)は、EVが消費者の唯一の選択肢となることに疑問を抱いている」と述べ、物議を醸した。
気候変動を巡る株主提案は否決されたものの、賛成率は15.06%に上った。豊田会長の取締役再任の賛成率は84.57%で、2022年の95.58%から大きく下がった。
■ 電力大手に株主提案で脱炭素・脱原発訴える
東電や関電など9の大手電力各社に対して、環境NGOなどは脱炭素や脱原発に関する株主提案を行った。6月28日に各社は株主総会を開催し、すべての株主提案を否決した。
オーストラリアの環境NGOマーケット・フォース、気候ネットワークの2団体は、東電と中部電力に対して2050年ネットゼロのロードマップに向けての具体的な方針の策定と開示などを求めた。
株主提案は否決されたものの、東電の総会では賛成票が9.86%と、一定の支持が集まった。