ナマコ漁獲制限、沖縄ほぼ全域で――9月から、乱獲で資源底をつく

中国で高級食材として珍重され、近年は価格が上昇しているナマコを乱獲から守るため、沖縄県は与那国島を除く県内全ての漁場で、各漁業協同組合にナマコの漁業権を与える方針を決めた。県水産課の担当者は「ここ数年は特に乱獲がひどく、県内のナマコの漁獲量は底を打っている状態。今後はルールを設けてナマコの資源保護を図りたい」と話す。漁業権の免許は9月から与えられる見通しだ。

ナマコ (Wikimedia Commons.)

中国では高級食材として乾燥ナマコの人気が高く、日本からも輸出されている。農林水産省の統計によれば、乾燥ナマコの2011年の輸出量は195トンで、出荷額は118億円にも達する。乾燥ナマコはその見た目や、高値で取引されることから「黒いダイヤ」と呼ばれることもある。

ところが、輸出向けの需要が増加する一方で乱獲や不漁などによって品薄や価格上昇も起きており、昨年末から先月にかけては青森県むつ市、青森市で網袋に入れて海中で保管していたナマコが相次いで盗まれる事件も発生した。

沖縄県内でも近年、乱獲によるナマコの資源量の減少が顕著で、県では2年前にも漁業権の設定を通じた漁獲制限の実施を検討した。しかしナマコの価格が上昇する中、規制に消極的な漁業者の合意を得られずに頓挫。前出の県担当者によれば「外国からとみられるナマコの買い付けが入ったことも、乱獲に追い打ちをかけた」という。

今回、ナマコの資源管理に動いた背景について同担当者は「現在のナマコは壊滅状態だという漁業者もいる。水揚げが底を打った今、漁業権の免許更新を機に、各漁協には持続可能なナマコ漁のためのルール作りをお願いしたい」と説明する。

漁業権によるナマコの漁獲規制は既に各地で実施されているが、今回の措置でこれまで地元住民が自家消費用に採取できていたものが制限を受ける可能性が生じる。同担当者は「漁業者以外を排除する意図はない。採取する場所や時期、大きさなどで規制することが考えられるが、ルールは地元ごとに異なり、一律には決められない」と話している。(オルタナ編集部=斉藤円華)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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