編集長コラム) アフリカでソーシャル・ビジネスに身を投じたCSR部員

■5年以内に軌道に

--ビジネスとしてのメドは立っていますか。

北村:できれば5年以内に採算が取れるようになればと考えています。ただ、そう簡単ではありません。食品ブランドを育てるというミッションが根幹にありますが、どんなブランドも5年10年で花開いたという例は、短い部類に入ります。

現在はフェイズ1の製品開発や市場調査を終え、フェイズ2の栄養効果試験やテスト販売を実施している段階です。

これを総括し、2014年春に工場の生産体制を整え、フェイズ3の本格販売に移行していきます。

とにかく、この5年で道筋を描いていきたい。それが見えてくれば、「勝利の方程式」が自分の中でできています。夢は大きく、アフリカ全土にココプラスを広め、栄養不足を改善していきたいのです。

■関連コラム--「ココプラス大使」が活躍

ガーナでココプラスを販売する女性

「栄養を売る」のは簡単ではない。特に、物流もなく貧困層の多い北部では、対面販売できる仕組みが重要だ。

そこで、味の素は、現地で活動している国際協力NGOケアインターナショナルと協働。「VSLA」(ヴィレッジ・セービング・ローン・アンド・アソシエーションズ)という村民参画型の貯蓄、融資の仕組みを利用し、販売スキームの確立を目指している。販売員は、VSLAから融資を受け、塩や大豆などの販売や農産品加工などの小ビジネスを行っており、ココプラスも販売アイテムの一つとなっている。

南の都市部では、テレビやラジオよりも「口コミ」が有効に働く。特に身近で尊敬できる、おばあちゃんやクイーン・マザーと呼ばれる首長の妻、宗教のリーダーなどの影響力が強い。彼らに製品をプレゼンし、「ココプラス大使」になってもらい、ココプラスを広める協力を得ている。同時に、栄養教育プログラムなども展開し、栄養管理の重要性を訴えている。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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