ザ コカ・コーラ カンパニー(本社 米ジョージア州)は、2010年を基点に2020年までに世界全体でビジネスの規模を2倍に成長させる長期成長戦略「2020Vision」を掲げている。その達成の条件として「サステナビリティ」に取り組むことを必須とし、水資源使用量の実質ゼロを目指す。使用した水の分だけ自然に戻す「ウォーター・ニュートラリティー」の現場を取材した。(オルタナS北海道支局長=横山光紀)
■ 「リデュース」「リサイクル」「リプレニッシュ」が原則
日本コカ・コーラ(東京・渋谷)を中心とした全国のボトラー各社、関連会社で構成されるコカ・コーラシステムは、使用した水の分だけ自然に戻す「ウォーター・ニュートラリティー」に取り組んでいる。
コカ・コーラシステムは、リデュース、リサイクル、リプレニッシュを掲げ、製品に使用する量と同等量の水をコミュニティおよび自然に還元し、相殺していく。製造現場で使用する量を削減し(リデュース)、工場で使った水は厳しい基準で配水(リサイクル)、そして使用した分を自然に戻す(リプレニッシュ)。
2020Visionの一環として、2020年には使用した水を100%還元する目標を掲げている。
北海道コカ・コーラボトリング(札幌市)が導入し、2012年3月に稼働を開始した「新マルチPETライン」では、従来のPETボトル充填ラインにはなかった様々な新技術が導入されている。
まず大きな特徴の一つが「エレクトロン・ビーム(EB/電子線)」殺菌方式だ。従来、PETボトルに製品を充填する際には、充填前に薬剤で洗浄していた。この方式は薬剤の代わりにエレクトロン・ビームを使用する。それにより、ボトル洗浄水の使用量を50%節水することに成功した。
トータルのエネルギー使用量も、地上水をポンプでくみ上げる際の電力と比較して電子線を発射する際のコストは抑えられていると見積もられている。