編集長コラム) 「ソーシャル・ブランディング」序章

オルタナ最新号(35号、12月16日発売)の第一特集は「ソーシャル・ブランディングの時代」です。オルタナを創刊して次号で丸7年。これまで一貫して、CSRや環境、ソーシャル・ビジネスの記事をお届けしてきましたが、ここで一つの結論を出すことができました。

リコーが日本で初めてCSRの部署をつくった2003年。その「日本のCSR元年」から10年が経ち、日本でもようやくCSRは市民権を得てきました。CSRという言葉を知らないビジネスパーソンは、おそらく、もういないことでしょう。

最近では、特に若者たちの関心は高く、企業の面接会場では、学生たちからCSR活動についての質問が必ずといって良いくらい出ると聞きます。

それでも、「CSRは分かりにくい」「CSRをやる余裕は無い」「一部の大企業の話」という反応が、それなりの規模の企業でも多いのが実情です。

事実、日本の上場企業約3500社のうち、CSRの専門部署を作ったり、CSRレポートを出したりする企業の数は、推定で1000社弱。つまり本格的にCSRに取り組んでいる企業は、残念ながらまだ全体の4分の1程度なのです。

「失われた20年」という長期の経済低迷を経て、体力を減らした企業も多いでしょう。グローバル競争で必死に戦っている企業も多いでしょう。その中で、あえてヒトと時間とお金をかけて、CSRに取り組む企業の割合が少ないのは、当然なのかも知れません。

しかし、企業がさらなる成長を遂げ、企業価値を高めていくためには、時代の流れにあった新しい戦略が必要です。その一つが、CSRを起点にした「ソーシャル・ブランディング」ではないかとの結論に至りました。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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