女性の能力を活かせる職場づくりを【ダイバーシティとジェンダー】

大西祥世
グローバル・コンパクト研究センター研究員
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そうしたトップの期待に応えた女性の社員は大活躍するようになって管理職となり昇進を重ね、同社で初めての女性の役員が生まれました。その役員は、2012 年に名古屋市の「女性の活躍推進企業」の従業員表彰を受けました。

同社のトップの方針は、女性が働き続けやすい職場づくりの面でも生きています。育児休職制度の改善もそのひとつで、社員の本音のニーズを知るためとしてアンケートではなく社員のヒアリングを行い、その結果に沿って労働組合とも話し合いを進めて、2009 年に労使が合意して使いやすい育休制度をスタートさせました。女性の社員の働く意欲はさらに強くなったのです。

以上の2社の取り組みからもわかることは、WEPs の原則2がいう女性差別の撤廃や女性の働きやすい環境の整備、そして女性のエンパワーメントを実現するには、企業全体に及ぶさまざまな工夫をして、社員の人事管理の制度改革を強く推進するのが必要だということです。この先にこそ、男女ともに社員が能力を発揮し、女性がいきいきと働いて会社の業績に好影響を与える企業文化が育ちます。

次回は、WEPs の原則3と、女性が働きやすくなり、持っている能力を十分に発揮するために重要な、安全や健康に配慮した事例をご紹介します。


【WEPs の原則2】 均等な機会、インクルージョン、差別撤廃
a 報酬は平等に支払いましょう。これには、手当の支払い、同一価値労働への同一賃金の支払い、すべての女性と男性への生活賃金の支払いに努力することが含まれます。
b 職場の方針と実践はジェンダーに基づく差別のないようにしましょう。
c ジェンダーに敏感な視点で採用と就労継続のための実践を実行し、管理職、執行役員、取締役に女性を積極的に採用して、任命しましょう。
d すべての役職レベルとすべての領域において、意思決定過程とガバナンスの部門で女性の十分な参画、30%かそれ以上を保証しましょう。
e フレックスな働き方の選択、休暇、以前と同じ給与と地位での復帰の機会を提示しましょう。
f  女性と男性に、サービスや資源、情報を提供して、子どもと家族のケアへのアクセスを支援しましょう。

【おおにし・さちよ】博士(法学) 立命館大学教授 専門は憲法、ジェンダーと法・政策。主著に『女性と憲法の構造』(信山社、2006 年)、「企業による人権尊重の展開」(法學志林111 巻1 号、2013 年)など。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第4号(2013年1月7日発行)から転載しました)

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大西祥世
グローバル・コンパクト研究センター研究員
博士(法学)専門は憲法、ジェンダーと法・政策。主著に『女性と憲法の構造』(信山社、2006 年)『ポジティブ・アクションによる女性のエンパワメントと平等推進―国連グローバル・コンパクトの新たなチャレンジ』(法學志林109 巻1 号、2011 年)『グローバル化における企業の公法上の位置づけ』(公法研究74 号、2012 年)など。

2014年7月28日(月)10:23

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