国連PRME(責任経営教育原則)を巡る動向【企業と社会の関係】

2012年12月現在、世界の主要ビジネススクールが487校、署名・参画しています。その具体的内容としては、国連グローバル・コンパクトなど国際的に広く合意を得た原理原則に基づき、下記の6 原則で構成されています。

原則1)目的 包括的かつ持続可能なグローバル経済のため、企業と社会にとって持続可能な価値を創出することができるよう、学生の能力を開発する。
原則2)価値 国連グローバル・コンパクトなどのような国際的イニシアティブに描かれている社会的責任を、学術研究やカリキュラムに組み込む。
原則3)手法 責任あるリーダーシップを育むにあたり、効果的な学習体験が得られるよう、教育的枠組み・教材・教育課程・教育環境を創る。
原則4)研究 持続可能な社会的・環境的・経済的価値を創出するための、企業の役割・ダイナミクス・インパクトについての理解を深め、概念的・経験的リサーチを行う。
原則5)パートナーシップ 社会的・環境的責任を果たすための企業の取り組みを知るため、企業の管理職と交流し、効果的な取り組み方法を共同研究する。
原則6)対話 グローバルな社会的責任と持続可能性に関連する重要課題について、教育者・学生・企業人・政府職員・消費者・メディア・市民社会組織・ほかの利益集団などステイクホルダーとの対話を促進・支援する。

PRME参画団体は、上記6原則を実行していくための実践活動を進めるとともに、ステイクホルダーに対する情報公開の観点から、定期的(年間1回以上)に進捗報告を行うことが求められます。

1年間の活動の成果、次年度の目標、次年度活動においてどのようなサポート(先行事例、実施上のガイドライン、会合やツール類など)を必要としているか、といった項目について報告することとなっています。これまでに393もの進捗報告がPRME のホームページhttp://p.tl/u_bK上に公開され、関心を持つ教育機関が参照できるようになっています。

【さいとう・のりこ】原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学専任講師。jfbs

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第4号(2013年1月5日発行)から転載しました)

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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