編集長コラム) 1カ月で100億円集めた「アイスバケツ」に学ぶ3つのこと

第一にその「成果」だ。この運動はほとんどコストを掛けずに、わずか1カ月という短期間で巨額の寄付を集めたのだ。米国のALS協会は8月29日、集まった寄付金が1億ドル(103億円強)に達したと発表した。

一般社団法人日本ALS協会(東京・千代田)にも、8月18~29日の間に2587万円の寄付が集まった。わずか10日間で昨年の寄付額を大きく上回る額が集まったのだ。

日本の大規模NGOの募金収入額トップは日本ユニセフ協会(ユニセフ)が 169 億円(2013年度)。2位はプラン・ジャパンの31億円(同)で、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)、国境なき医師団(MSF)、世界自然保護基金ジャパン(WWF)などが続く。「純国産NGO/NPO」でランキング上位に位置する団体は極めて少ない。

「アイスバケツ」はプラン・ジャパンに対する年間寄付額を、わずか1カ月で達成した形だ。このギャップはどうすれば埋めることができるのだろうか。

第二に、その「手法」だ。不特定多数からたくさんの寄付を集めるためには、ワクワク感や楽しさが必要で、それが米国や欧州人の気質とマッチした。それがすべての日本人に通じるわけではないことも、今回改めて浮き彫りになった。

では、どうすれば良いのか。それは日本や東洋の気質に合ったソーシャル・キャンペーンを編み出していくしかない。しかも、今のところは答えはない。

だが、これから数年で、画期的なファンドレイジングの手法が新たに開発されるかも知れないのだ。

この2-3年の間に日本でも浸透してきた「クラウドファンディング」は、まだら模様ではあるものの、成功事例も相当増えてきた。これは洋の東西を問わず、ひろく一般の共感を得たと言えよう。

オルタナオンライン8月22日付け記事「アイスバケツは日本の寄付文化を変えるか」には次のような下りがあった。

国内最大の寄付サイト「ジャスト・ギビング・ジャパン」を運営する佐藤大吾代表理事は「正直、悔しい」と漏らした。「悔しい」と感じた理由は、このキャンペーンを企画したのが、「プロではないから」だ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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