式年遷宮を考える【戦略経営としてのCSR】

このエントリーをはてなブックマークに追加

CSRmonthly_ookubo
大久保 和孝(新日本有限責任監査法人CSR推進部長)

神宮(伊勢神宮)において行われる式年遷宮は、原則として20年ごとに、内宮・外宮をはじめ全ての社殿、殿舎、宇治橋などを作り替えて神座を遷す。戦国時代における中断などがあるものの、持統天皇4年(690年)の第1 回の式年遷宮から1300年にわたって続けられ、2013年10月、平成5年(1993年)秋以来となる第62回神宮式年遷宮が行われた。

膨大な費用を投じながらも定期的に実施してきた理由として、①過去の建築様式である弥生建築を保とうとしたこと、②神道の精神として、常に新たに清浄であること(常若)を求めたことーーなど諸説がある。建物が使用可能であっても老朽化は汚れ(神の生命力の衰え)を意味し、建物を新しくすることで神の生命力を蘇らせようとしたようだ。

20年ごとに行われる理由としては、①物理的な耐用年数ではなく、神道の宗教的な意味で、建物の「清浄さ」を保つ限度、②建て替えの技術伝承を行うために、一世代を20 年として、寿命や実働年数から考えて設定、③旧暦の周期、④神嘗祭に供される穀物(稲)の保存年限が20年であることーーなどと言われている。

物理的には使える建物を取り壊し、新たに作り直すというシステムは、一見非効率で無駄にも見えるが、我が国における最たる持続的なシステムではないか。日本人は、外圧を契機とした環境変化への適応は得意である。しかし、農耕民族としての性格ゆえ、一旦出来上がったシステムを自発的に変えていくことは苦手である。式年遷宮は、こうした国民性を打破し、持続的に発展していくために必要不可欠なシステムと考えられる。

いかに精神の荒廃を予防するか

「式年(20年)」とは、物理的な耐用年数ではなく、精神の荒廃としての年限であり、企業の成長サイクルとも符合する。企業でいえば創業理念にあたるコンセプトを保持したまま、コンテンツを建て替えることで、精神の荒廃を自発的に予防し、全体の価値を維持させる。結果として長期にわたり持続的に発展させていくという点で合理的な仕組みだ。

ページ: 1 2

2014年9月18日(木)12:03

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑