クラウドファンディングの鍵は「買い物」「仲間」「ゲーム性」【CSRフロンティア】

原田勝広
オルタナ論説委員
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その見返りは物とは限らないからだ。例えば、プロジェクトが動きだした時、そのプロセスに参加できる「経験」や、企画した本が完成したら、それに名前を入れてもらえる「権利」、あるいは非公開のイベントに参加できる「特別感」というものとの引き換えも人気なのだ。ものが欲しいという単純な気持ちではなく、「仲間に入りたい」という微妙な心理が働いている。これが2つ目の特徴である。

3つ目はゲーム性。プロジェクトを実現するための目標額が初めに示されている。これに対し、今、どれくらいお金が集まっているかが見える。つまり、可視化されているのだ。締め切り時点で目標額に1円でも足りなければ、プロジェクトはつぶれる、というall or nothing のルール。どれもゲームの要素を構成している。

魅力的なリワードの考案を

3つの特性がわかれば、戦略も立てやすい。魅力的なリワードを準備すること、コミュニケーションをしっかりとって、仲間意識を共有し、力をあわせて目標に立ち向かう。そんな雰囲気を作ることだ。

キャンプファイヤーと並ぶ日本の代表的なCF、READYFORを立ち上げた米良はるか代表も顔をみせていた。最大の成功例は目標額の412%を達成したSVA(シャンティ国際ボランティア会)の「陸前高田の空っぽの図書室を本でいっぱいにしよう」プロジェクトだが、希望する本に資金提供者の名前を入れるというおしゃれなリワードが人気の秘密らしい。

READYFORの場合、最近増えているのが企業の事例だ。松竹による小津安二郎監督の「晩春」のデジタルリマスタリング(最新の機材による再生)やJ-WAVE による番組制作である。また、マッチングギフトも出始めた。成功者の2 度目以降のプロジェクトにマッチングで資金援助するもので、アサヒグループホールディングスによる「子供支援」マッチングギフト。あるいは、ベネッセホールディングスによる「被災地支援」マッチングギフトがある。やはり、CFは大変な可能性に満ちている。

【はらだ・かつひろ】日本経済新聞社ではサンパウロ、ニューヨーク両特派員。国連、NGO、NPO、社会起業家のほか、CSR、BOP ビジネスなどを担当。日本新聞協会賞受賞。2010 年明治学院大学教授に就任。オルタナ・CSR マンスリー編集長。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第18号(2014年3月5日発行)」から転載しました)

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍し日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門はCSR論、NGO・NPO論、社会起業家論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など多数。

2014年10月28日(火)15:21

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