「対話」の重要性を最初に気付かせてくれたのは、弊誌「オルタナ」の創刊以来、連載をいただいている作家の田口ランディさんだ。
数年前、「対話をするから」と、湯河原の旅館に誘われた。行ってみると、浴衣姿の男女が10人近く。名刺を交換したところ、東電や東芝の現役社員や大学の先生らだった。
テーマは原子力発電の是非。といっても、原発事故が起きる2年以上前のことだ。今のような対立ムードはなく、なごやかに酒を酌み交わしながら、本音のトークが始まった。
「原子力発電所で、現場のモラルが下がっているのが気になる」。ある東電社員がぼそりとつぶやいたことが脳裏に残っている。
この夜の議論に結論は無かった。「対話」なので、一つの場所に集まり話し合うことがランディさんの最大の目的だったのだろうが、闊達な意見が行き交い、非常に意義深いものだと感じた。
そんなことを思い出したのは、昨日(2014年11月3日)、興味深い二つのセッションに参加したからだ。