フランスのエコプロ展を見に行った。[小林 光]

出版物、カタログなどから見て思うこと

会場入り口で無料配布されるShow Mapと見出しがつけられているものは、日本で、日経BP社が作っているエコロジーの別冊よりは薄く、他方で、日本で配っている大判の地図よりは、少し情報量の多い冊子であった。しかし、同じようなものである。

これに加え、冒頭に述べたように、有料で、出展企業の情報が、分野別、アルファベット別、国別などに重複的に整理されている、電話帳のような「カタログ」が販売されていた。

論者として面白かったのは、このテーマに興味のある人は、会場をこんな風に回ってみたらどうか、という趣旨の小さなパンフレットも入り口に複数種が用意されていたことである。

さらに、刷り物ではないが、POLLUTECのポータルサイトでは、出展各社との面談スケジュール作成もサポートされていた。要すれば、より個別的な閃きの場、さらには交流・商談の場として、この行事が意識されていることの反映であるのだろう。さらに、フランスの場合は、参観者に事後に比較的詳細なアンケート調査などが送られてくることも好感が持てた(その結果がどのように次年度以降に反映されるかは定かではないが)。

日本でも、折角のエコプロを、一方方向的な情報提供の場としてだけではなく、こうした個別的な気づきの場、知識を自分なりに深める機会とできる場、さらには、可能であれば。

新たなビジネスの創発につなげられる場へとしていけたらなあ、と思われた。このコラムの第一回に述べたように、論者も、社外重役をしている企業(日本紙パルプ商事)としてエコプロ展の出展者としての立場があり、エコだけを意識しない、多様なエコの発想を東西で育んでいければと改めて感じる機会となったのが今回の訪問であった。

小林 光(こばやし・ひかる):
慶應義塾大学教授
1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、環境庁(当時)入庁。環境と経済、地球環境を主に担当する。2011年に退官してからは、慶応義塾大学大学院と環境情報学部の教授を務める。

hikaru

小林 光(東大先端科学技術研究センター研究顧問)

1949年、東京生まれ。73年、慶應義塾大学経済学部を卒業し、環境庁入庁。環境管理局長、地球環境局長、事務次官を歴任し、2011年退官。以降、慶應SFCや東大駒場、米国ノースセントラル・カレッジなどで教鞭を執る。社会人として、東大都市工学科修了、工学博士。上場企業の社外取締役やエコ賃貸施主として経営にも携わる

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