[映画評]国家の視点では見えない、家族の歴史「ふたつの祖国、ひとつの愛」

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アジアの芸術家として初めてMoMA(ニューヨーク近代美術館)に作品が所蔵された韓国の画家。その妻は日本人だった。戦争に翻弄され、生き別れた夫婦の数奇な生涯を追ったドキュメンタリー映画「ふたつの祖国、ひとつの愛〜イ・ジュンソプの妻〜」(酒井充子監督/2014年/日本/80分)が都内で上映中だ。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

映画「ふたつの祖国、ひとつの愛」より © 2013天空/アジア映画社/太秦

映画「ふたつの祖国、ひとつの愛」より © 2013天空/アジア映画社/太秦

イ・ジュンソプ(1916〜56)は韓国で「国民的画家」として知られるという。遺された作品は1枚で最高約3.2億円の値がついた。ところが生前、作品が評価されることはなく、彼は貧しさの中、誰にも看取られずに亡くなっている。

彼は1939年、東京の美術学校で学んでいる時、妻となる山本方子(まさこ)と出会った。後に太平洋戦争が開戦。故郷の朝鮮に戻った彼は45年、空襲に晒される東京から方子を呼び寄せ結婚する。2人の子供に恵まれるが、50年、今度は朝鮮戦争が勃発。妻と子供は日本に帰国したが、当時の日韓に国交はなく、53年に夫が短期来日したのを最後に、夫婦は生き別れた。

離ればなれの家族の愛をつなぎとめたのは、200通以上に上る手紙のやり取りだった。

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2014年12月19日(金)17:53

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