今、政治の分野では、年齢をめぐる議論が起きています。具体的には、有権者となる若者の年齢です。諸外国の多くで定められている「若者」の年齢は、16歳から20歳まで幅がありますが、この年齢差の中で、一体どの年齢に注目し着地させればいいのか。日本では、その議論が必要とされています。(愛知学泉大学准教授=三輪昭子)
2015年3月5日午後、自民、民主、公明、維新などの与野党は選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公選法改正案を衆院に再提出しました。今国会で成立する見通しです。早ければ2016年夏の参院選から適用され、その際は約240万人の未成年者が有権者に加わります。
16歳から20歳までというのは、諸外国で実際に投票権が与えられている年齢です。選挙権付与に妥当な年齢を決定するのは非常に難しいことですが、20歳以上を選挙権年齢とする国は少数派のようです。国会図書館が昨年2月、198カ国・地域を対象に行った調査によると、「18歳以上」とする国が8割以上を占めていました。
18歳を下限にしている国は、米国、英国、ドイツ、フランスなどの欧米諸国のほか、インド、メキシコ、南アフリカなどがあります。
G8の中では日本を除く7カ国が18歳と定め、経済協力開発機構(OECD)加盟の32カ国が18歳までに選挙権を定めています。隣国の韓国は「20歳以上」としていましたが、将来的に18歳へと変更することを念頭に2005年、段階的措置として「19歳以上」に引き下げました。
現在「20歳以上」としているのは、日本、台湾、カメルーンなど5カ国・地域で、マレーシア、シンガポール、クェートなどは「21歳以上」、アラブ首長国連邦は「25歳以上」と定めています。
国会図書館によると、選挙権年齢の下限を18歳に引き下げる動きは19〜20世紀初めに中南米、1970年代にアジア、アフリカなどへと広がりました。政治を活性化する狙いや、学生運動の影響などが背景にあるようです。