「統合報告」で経営を動かす【世界を変えるCSV戦略】

これは、CSV/シェアード・バリューの考え方と同じです。CSVは、バリューチェーンやクラスター/競争基盤のコンセプトを用いて、他者に対する価値と自社に対する価値を両立させる戦略を説いています。

CSV/シェアード・バリューを生み出すためには、社会や自然との相互影響関係に着目する必要があります。

統合報告のコンセプトやCSVの実例を通じて、経営が社会・関係資本や自然資本の重要性について理解を深めれば、価値の範囲について経営の視野が広がります。さらに、統合報告は、外部環境の変化を踏まえた長期の価値創造ストーリーも描き出します。長期の価値創造に意識を持たせ、時間軸でも経営の視野を広げます。

なお、社会や自然との関係性がどう経営に影響を及ぼすのかを整理することは、CSR活動を推進する上でも重要です。

統合報告を通じて、自社経営における社会・関係資本、自然資本の意味合いを経営層と共有することは、今後のCSR活動を進めやすくするでしょう。統合報告は、経営にとってもCSR担当にとっても積極的に進める価値のあるものです。

【みずかみ・たけひこ】東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。ブログ「CSV/ シェアード・バリュー経営論」共著『CSV 経営』(NTT 出版)

(この記事は、株式会社オルタナが2014年1月6日に発行した「CSRmonthly 第16号」から転載しました)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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