社会貢献活動の棚卸し【世界を変えるCSV 戦略】

水上武彦
株式会社クレアン
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水上 武彦(株式会社クレアン)

私の前職の経営コンサルティング会社は、技術/イノベーション・マネジメント関連の仕事が多い職場でした。私が在職中は、特許の戦略的活用がちょっとしたブームになっていたこともあり、特許マネジメントに関するコンサルティングも多く経験しました。

特許マネジメントのベストプラクティスとしては、よくダウ・ケミカルの特許棚卸しの事例を挙げていました。約2万9千件の特許を、特許が関連する事業の魅力度および特許の自社での使用可能性で評価し、事業の魅力も使用可能性も低いものは特許を放棄し、事業は魅力的だが自社としては使用可能性の低いものは他社にライセンスするなどの対応を取りました。その結果、ダウ・ケミカルは、4000万ドルの特許維持コストの削減と1億ドルのライセンス収入の増加を実現しました。

現在の私の仕事の関係で言えば、社会貢献活動などでこうした棚卸しができると考えています。社会貢献活動は、過去の様々な経緯により積み重ねられており、自社にとっても社会にとっても余り価値を生み出していない活動を行っているケースもあります。企業によっては、社会貢献活動に数十億円使っていますが、この費用はもっと効率利用できるものだと思います。

企業にとって社会貢献活動を行う意味合いとしては、社会に価値を提供することによる評判の向上、従業員のロイヤルティ・モチベーション向上、競争基盤を強化することによる自社事業の競争力向上があります。

■社会貢献活動の棚卸し方法
社会貢献活動を棚卸しするときには、まず、大きく「自社にとっての価値」と「社会にとっての価値」の2軸のマトリックスに社会貢献活動をプロットし、どのような社会貢献活動のポートフォリオとなっているかを可視化することが必要です。加えて、円の大きさなどで、費用を可視化することも必要でしょう。

ポートフォリオの評価指標としては、「自社にとっての価値」については、「自社事業強化に役立っているか」「従業員のモチベーション向上につながっているか」など、「社会にとっての価値」については、「社会的に重要な問題に対応しているか」「自社の活動が社会問題解決に貢献しているか」などが考えられます。

なお、こうした評価は、自社でも実施可能かも知れませんが、社内だと社会貢献活動への思い入れや活動を始めた人への遠慮などもあり客観的な評価をするのが難しいので、外部リソースの活用も有効でしょう。

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水上武彦
株式会社クレアン
東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。ブログ「CSV/ シェアード・バリュー経営論」共著『CSV 経営』(NTT 出版)

2015年4月25日(土)7:25

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