水上 武彦(株式会社クレアン)
CSVの3つの方法のうち、製品・サービスのCSVは、事業開発部門や事業部門が中心となって実施するものです。バリューチェーンのCSVは、社内の事業プロセスすべてに関わるもので、事業部門だけでなく、すべての機能部門で実施することができます。クラスターのCSVは、事業部門と一部機能部門が中心となります。
しかし、CSVは、戦略的フィランソロピー→ 戦略的CSR→CSVと、社会貢献活動やCSRを戦略的に行うという文脈で進化してきたせいか、まずCSR担当者の間で認知が広がっています。
一方で、事業部門などではCSVの認知はまだまだこれからという段階です。社会問題を対象とした新規事業の検討など個別の活動は行われていますが、事業部門などで体系的にCSVの可能性を検討しているというケースは、ほとんどないと言って良いでしょう。
こうした状況において、CSR部門は、何をすべきでしょうか。基本的には、社内の他部門を動かすことが必要であり、他部門にCSVの意味合いとその価値を理解してもらう必要があります。そのためには、講演やワークショップを通じて、CSVのコンセプトと、自社ではどのようなCSVの可能性があるのかを理解してもらうことが必要です。
その際には、1Action 2Value チャートなどを用いて、すでに行われている自社のCSVを可視化し、同業他社や他業界の事例と照らし合わせて、まだ実施できていないことを整理することなどが、有効でしょう。
その他、CSR部門ができることとしては、CSVマテリアリティの特定、CSV方針の策定などがあります。
■ M-PESAにみるCSR担当者によるCSVの創造