日本参加の石炭火力計画で人権侵害 インドネシア・バタン住民が来日

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インドネシアのバタン地域で進められている石炭火力発電所の建設計画に反対する地元住民が来日し、29日に都内で会見した。計画には電源開発(Jパワー)と伊藤忠商事が参加し、国際協力銀行(JBIC)と民間銀行団が融資を検討している。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■日本、官民連携で計画参加

会見に臨むインドネシア・バタン地域の住民。右からチャヤディ氏、カロマット氏、ハキム氏=29日、都内で

会見に臨むインドネシア・バタン地域の住民。右からチャヤディ氏、カロマット氏、ハキム氏=29日、都内で

計画ではジャワ島バタン県に出力200万キロワットの石炭火力発電所を建設。Jパワーと伊藤忠、現地企業の3社からなる合弁会社「ビマセナ・パワー・インドネシア(BPI)」が事業を進める。約3300億円の融資額の内、6割をJBIC、残りを民間銀行団が出資する見込み。完成すれば東南アジア最大級の石炭火力発電所となる。

ところが現地は水田やジャスミン畑が広がる農地で、土地収用によって生計を失うことに住民が反発。住民7千人以上からなる反対組織が2012年に発足した。地権者71人が土地売却を拒否し、計画は3年遅延。また建設予定地は海に面しており、過去に石炭火力発電所周辺で漁業被害が生じたことから、地元漁民も反対運動に加わっている。

来日したのは住民代表や土地収用を拒む地権者、および漁民ら。地権者のカロマット氏は「JBICが融資を実施すれば農民が土地を手放すことになり、人権侵害も起きている。JBICは石炭火力発電所ではなく、自然エネルギーに融資してほしい」と訴えた。

用地はすでに9割が買収されているが、同じく地権者で住民代表のチャヤディ氏は「住民は売却を迫る圧力を受けて手放した」と述べ、住民が進んで用地買収に応じているわけではないことを強調した。

漁民のアブドゥル・ハキム氏は「村には250の漁船があり、年間の漁業収入は70億ルピア(約7千万円)。ここに石炭火力発電所ができれば、豊かな生活が破壊される」と話した。

■反対住民を「チンピラ」が脅迫

計画に反対する住民は警察や軍、民間警備員、地元で「プレマン」と呼ばれるならず者(チンピラ)による人権侵害に直面している。抗議活動の参加者に対する警察や軍の暴力行為により20人近くの負傷者が出たほか、プレマンによる嫌がらせや脅迫を警察が黙認しているという。

チャヤディ氏らは「バタン県の前知事が地元のプレマンを組織して反対住民に嫌がらせを行っている。そのための資金はBPI社から出ているのではないか」と話した。また、同氏は「反対住民が土地を売れば、売却価格の5〜10%に相当する額が(報奨金として)プレマンに支払われる。そのためプレマンも必死に嫌がらせなどを行う」とも指摘した。

JBICは投融資対象事業が環境や地域社会に与える悪影響を回避することを目的とした異議申立制度を設ける。OECD(経済協力開発機構)も、多国籍企業の責任ある行動を求めるガイドラインに基づき、当事者からの問題提起を受け付けるが、法的拘束力はない。住民らは事業の差し止めなどを求めて同日午後、JBICとOECDにそれぞれ申立書を提出した。

2015年7月29日(水)16:46

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