ウナギビジネスに沸くミャンマー

井田徹治
共同通信社

自分たちで食べることはほとんどなかった漁民の多くがウナギ漁に目の色を変え、6~9月の雨期がウナギ漁のシーズンで、15~20人くらいの漁師が総出で 川のウナギを追い掛ける。昔なら値段が付かなかった小さいウナギまで出回るようになったという。
 
ニホンウナギとその代替品として大量に消費されたヨーロッパウナギの資源量が急速に減少する中、注目された外来ウナギの一つが東南アジアにすむバイカラーだった。
 
乱獲で資源が減少することや、生きたまま輸出されれば外来種として生態系に影響を与える懸念があることなどから、専門家の中には外来ウナギの利用を慎むべきだとの声が強いのだが、一部で「救世主」などと持ち上げられることもある。
 
フィリピンなどから毎年のように輸入されるウナギの多くがバイカラーだと考えられている。
 
すでに乱獲による資源減少の兆しは見られている。仲買人によるとピアポン周辺のウナギの漁獲量はこの十数年の間に半減し、今では昔なら値がつかなかったような小さなウナギまでもが取引されるようになってきたという。
 
ミャンマー水産局の関係者は「急激な資源減少は大きな懸念材料だが、漁業規制はおろか正確なデータすらなく、手の打ちようがない」と話すが、「得られる収入は大きいのでウナギブームはまだまだ続くだろう。数が減っているのは知っているが、今のうちに売れるだけ売って金をもうけるのだ」と意気軒高だった。
 
日本人のウナギの乱食・乱売は、日本や欧米のウナギだけでなく生態や資源量がほとんど分かっていない熱帯のウナギにまで大きな影響を与えている。

※この記事は、オルタナ41号(2015年6月29日発売)の「人と魚の明日のために」で連載したものを転載しました。オルタナ41号の詳細は⇒ http://www.alterna.co.jp/15290
amazonは⇒ http://www.amazon.co.jp/dp/B00ZJ0606E

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井田徹治
共同通信社
記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委 員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など

2016年2月19日(金)10:00

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