「サステナビリティ」は経営戦略―日本コカ副社長

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語り手
後藤 由美 氏(日本コカ・コーラ  広報・パブリックアフェアーズ 副社長)
聞き手
川村 雅彦(オルタナ総研フェロー)

日本コカ・コーラは「サステナビリティ」を経営戦略とし、米国本社の方針のもとSDGs(持続可能な開発目標)へのコミットを表明するなど、積極的なCSRの取り組みを行っている。広報、パブリックアフェアーズの立場でCSRに関わる後藤由美副社長に、その考え方や取り組みを聞いた。

6月に完成した新本社ビル(東京・渋谷)は、CO2削減をはじめFSC認証木材の使用など環境配慮型であり、コカ・コーラ社のグローバルな環境コミットメントと整合するユニークな考えに基づき設計されている。

地域の活性化なくして、事業の成長もない

後藤 由美 副社長 広報・パブリックアフェアーズ本部長

後藤 由美 副社長

川村:コカ・コーラ社がグローバルに取り組んでいる水資源管理の「ウォーター・ニュートラリティ」は有名ですが、まず日本コカ・コーラのCSR/CSVに関する基本スタンスについて、お聞きしたいと思います。

後藤:ビジネス成長の必須条件としてサステナビリティを捉えており、CSRやCSVはサステナビリティの一環となります。

当社は米国アトランタにあるザ コカ・コーラ カンパニーの日本法人(非上場)ですが、日本全国で製品の製造と販売を行う6社のボトリング会社とともにビジネスを展開しており、全体で「コカ・コーラシステム」と呼んでいます。現地で製造・販売を行っていることから地域との結びつきは深く、事業を通じて地域の発展に貢献していくという理念のもと、CSR/CSVについてもボトリング会社と協働して取り組んでいます。

なお、経営戦略の一部であるという認識からコンセプトには自ずとCSVの概念が織り込まれていますが、社内では「サステナビリティ」という言葉に集約されて浸透しています。

川村:地域との連携からサステナビリティを考えていくということですね。コカ・コーラ社はグローバル展開をされているので、米国本社の考え方が基本だと思いますが、日本独自の活動があれば教えてください。

後藤:当社には、「me(個人)、we(地域社会)、world(環境) 」というサステナビリティのフレームワークがあります。meは個人(お客様)の健康とハピネスに貢献する活動、weは地域社会に貢献する活動、worldは地球環境保全の取り組みです。

この3つの重点分野の中に9つの活動領域があって、東日本大震災の復興支援など日本特有の活動も含まれます。これらの活動は感覚的に推進するのではなく、まず数値目標を設定し、四半期ごとに本社で結果の取りまとめを行っています。

川村:各地域ごとにKPIを、毎年更新しているのですか。

後藤:財務・非財務を併せた米国本社の成長戦略「ビジョン2020」のもとで、地域ごとに2020年度をゴールとしています。2015 年に発表した「環境2020 年目標」は、米国本社の基準より厳しい目標を持っている領域もあります。

水資源保護は引き続き「ウォーター・ニュートラリティ」の達成を目指し、地球温暖化防止では製品ライフサイクルのCO2排出量を2010年比で25%削減を目指すなど、各領域で数値目標を掲げています。

川村:それでは、推進体制はどのようなものでしょうか。

後藤:私のチームに地域貢献活動を担当する社員が2名、ボトリング会社を含めると全国で30~40人が携わっています。また当社内にステアリング・コミッティが設置されており、社長を筆頭にマーケティングや人事など各部門の責任者が参画しています。このような横連携がサステナビリティを経営戦略に組み込む上での大きな柱となっています。

川村:サステナビリティの考え方が本業に組み込まれている、ということですね。

後藤:そうですね。

川村:次に、飲料メーカーとしてのバリューチェーン対応やマテリアリティがあれば教えてください。

後藤:サステナビリティは事業と密接に関わっていますので、バリューチェーンを視野に入れたプログラム開発に注力しています。一例として「5by20(ファイブ・バイ・トゥウェンティ)」があります。これはコカ・コーラビジネスに関連する事業を通じて、2020年までに世界で500万人の女性の経済的自立を支援するプロジェクトです。

日本では製品の原材料である農産物の生産活動に従事されている女性の活躍支援を行っています。具体的には持続可能な農業に関する研修会などを開催しており、2020年までに7500人を支援する目標に対して、2015年末時点で累計約650人が参加しました。

サステナビリティを意識した独自の取り組み

川村:コカ・コーラ社の水リスクへの対応は、インドにおける地下水汲み上げ問題から、グローバルに広がったと理解していますが、いかがでしょうか。

後藤:水資源保護については以前から優先度の高い課題という認識でしたが、水資源保護に対する企業責任を真摯に考えさせられる出来事だったと思います。現在は、2020年までに製品製造時に使用した水と同じ量の水を自然に還元する「ウォーター・ニュートラリティー」に取り組んでいます。

川村:具体的にはどのような取り組みをされるのですか。また、いつ頃から始まったのですか。

後藤:具体的な取り組み内容は、工場での水の使用効率の改善、水のリサイクル・リユース、さらに水資源涵養です。2009年から各国に概念が導入され始めましたが、日本では工場の水源域調査が1年から2年かかりましたので、実際の活動は2012年頃から全国で順次行っていきました。

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2016年9月6日(火)10:02

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