カーボンニュートラルの老舗シャンパン

俵麻呂
在パリジャーナリスト
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ワイン大国フランスのオルタナティブなワイン造り(4)

「シャンパーニュ・ドラピエ」(コート・デ・バール)
ミッシェル・ドラピエ氏(7代目当主)

大手シャンパン生産会社が集まるシャンパーニュ地方の首都ランスから南東90km離れたところに、もう一つのシャンパン産地コート・デ・バールがある。歴史的な理由から長年マイナーな存在だったが、最近、家族経営の醸造元が作るオーセンティックなシャンパンが個性派ワイン通の間で人気が高まって注目されている。(パリ=ジャーナリスト・俵 麻呂)

7代目現当主のミッシェル・ドラピエ氏

7代目現当主のミッシェル・ドラピエ氏

コート・デ・バールの代表的なシャンパン醸造元である「シャンパーニュ・ドラピエ」は、1115年に建造されたクレルヴォー大修道院(現在は刑務所)の近くの小さな村ユルヴィルで、1615年にドラピエ家がぶどう栽培を始めて以来現在まで続いている家族経営会社だ。

会社としての創業は1808年、1951年からシャンパン醸造販売を開始して、現在年間150万本のシャンパンを生産している。同社の地下には、元クレルヴォー修道院のワインセラー(1152年建造)が残っていて、現在もそのまま利用している。

因みに、コート・デ・バールの主要ぶどう品種であるピノノワールは、同大修道院の創立者である聖ベルナールが、ミサ用の高品質なワインを作るために出身地のブルゴーニュ地方のぶどう品種モリオンノワールをこの地で栽培したことが起源となっている。

■ 68年ぶりに馬で耕作

1615年以来ドラピエ家がぶどうを栽培する畑

1615年以来ドラピエ家がぶどうを栽培する畑

このような歴史と伝統のある土壌とぶどうに忠実なおいしいシャンパンを作るために、7代目の現当主ミッシェル・ドラピエ氏がさまざまな取り組みをしている。

まず、「ワイン作りの基本は土壌。従業員の作業の65%はその手入れに当てられる」というドラピエ氏。次世代当主である息子のアントワンさんは、68年ぶりに馬を使った耕作を再開したそうだ。

現在、150ヘクタールのぶどう畑の内、オーガニックラベルを取得しているブドウ畑は全体の3分の1だが、それ以外の畑も農薬や化学肥料は使わない有機農業を実践している。

シャンパンの主要ブドウ品種であるピノノワール、シャルドネ、ピノムニエの他に、この地方特有の忘れられたぶどう品種の栽培も手掛けている。その3種類(アルバネ、プチメリエ、ブラン・ブレ)とシャルドネをブレンドした「カルテット」(四重奏)は、ドラピエの看板商品の一つだ。

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俵麻呂
在パリジャーナリスト
今、世界的なブームのオーガニックワイン。本連載では、その味の決め手となる「テロワール」(ぶどう畑の土壌や気候などの自然環境)を破壊して人体を蝕む化学物質(化学肥料、農薬など)の使用を拒むことはもちろん、人工的介入を極力避けた醸造法によって、社会的責任を果たすおいしいワイン作りに取り組む戦士たちを紹介します。marotawara(a)orange.fr

2016年10月25日(火)19:15

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