「共感は本業の拡大解釈から」 鎌倉投信ファンド責任者

投資のプロとして、数多くの会社を見てきた新井氏に話を聞いた
投資のプロとして、数多くの会社を見てきた新井氏に話を聞いた

鎌倉投信は投資信託「結い2101」を立ち上げ、社会性のある企業への投資を行ってきた。結い2101を運用する新井和宏氏は、「大切なことは本業の拡大解釈」と強調する。共感される企業の条件について聞いた。(聞き手・オルタナS副編集長=池田 真隆)

投資のプロとして、数多くの会社を見てきた新井氏に話を聞いた

――いい会社と人間力の高さは比例しているということですね。

新井:いい組織は、個々に違うのですが、これまでに多くの企業を拝見させていただいて思う共通点は、人間力をちゃんと鍛えてくれる会社でした。なかでも、若い人を積極的に起用しているところは、その傾向が高いです。

――企業が若手に裁量権を与えるためには、社風から変えていく必要がありますか。
新井:まず経営者が、そういった考えを示さないといけません。でも、組織が大きくなれば、経営者だけでなく、現場の担当者まで、その考えが浸透していないと難しくなります。

例えば、経営者が障がい者雇用率を4%まで高めると宣言しても、現場が理解しないと難しい。経営者が現場の社員たちに、なぜ障がい者と一緒に働くのか、その理由を説明し、納得してもらえないといけません。

大切なことは、本業の拡大解釈をどれだけできるのか、だと思います。本業に対して、視野の狭い企業は嫌われるでしょう。

あなたが存在するのは、社会や顧客、そして、取引先や地域、さらには地球が存在するからです。その視野を広げられないと、結局視野の狭い会社といわれ、誰にも愛されなくなってしまいます。事業だけを捉えるのではなく、ステークホルダーとの関係性を俯瞰し、社会での立ち位置を理解していないといけません。

例として、「かんてんぱぱ」で有名な伊那食品工業(長野県)とヤマトホールディングスがあります。伊那食品工業は食品会社なのですが、会社のそばに信号機をつくりました。これは、道路に信号機がないと、地域住民さらには、社員の事故につながるとの想いからです。また、ヤマトホールディングスは、震災時、ドライバーは自分たちも被災しているにも拘わらず、東北へ救援物資を届けにいきました。

このようなことは、使命感がなかったらできない。だって、自分がかわいかったら、まず自分の身を守るはずです。緊急時に、社員にこのような行動を起こさせる社風はすごく大事で、いい会社はお金では測れない部分にその価値が存在しています。

ずっと数字の世界で仕事をしてきましたが、数字で測れる財務諸表や企業データ、CSRレポートからは、読み取れれるものは少ないと思っています。なぜなら、その数字は化粧ができるから。むしろ、数字で測れないものにこそ、本質的な価値が存在します。そのような会社には個性があり、その個性が、いい会社になる条件だと思っています。
鎌倉にある本社、古民家を改装し、趣がある

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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