イノベーションは「ゴミ処理」から

ゴミの分別にはリサイクル製品を作る余地も考えられています。リサイクル製品の製造にはコストが大きくかかるという問題の指摘が以前ありました。大量生産・大量消費・大量廃棄の時代を資源循環型に変えなければならないという社会要請の中で、3R(Reduce Reuse Recycle )から4R(Refuse Reduce Reuse Recycle) 、または5R(Refuse Reduce Reuse Repair Recycle)と資源循環のための教育啓発がなされ、今ではサステナブル(持続可能性)な社会づくりにはゴミ減量に再使用、リサイクルは常識となっています。そのような精神は残すべきであると思います。

けれども、他方では、リサイクルが難しい廃棄物が依然として残っています。その問題を完全には解消できないかもしれませんが、少しでも可能性を広げられるイノベーションこそ期待して、受け入れたいと思います。

地球温暖化問題に関して「京都議定書」では効果を得られなかった現実に対し、昨年11月、地球温暖化対策の新しい国際ルール「パリ協定」が発効し、歴史に記録されるべきものとなりました。パリ協定は、2015年12月のCOP21で採択され、その後米中、インド、EUなど、既定数の55か国以上が批准し、発効に至りました。

今後、深刻化する地球温暖化に対して、世界のすべての国が、行動を始めることになったのです。

日本は二酸化炭素排出が世界5位の主要排出国であるにもかかわらず、パリ協定批准に間に合わず、パリ協定締約国の第1回目の会議に正式メンバーとして参加できなくなりました。温暖化対策のルールづくりに直接関わることができない状態なのです。

パリ協定には、世界共通の長期目標として2℃目標とし、主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること、共通かつ柔軟な方法でその実施状況を報告し、レビューを受けること、さらには「イノベーションの重要性が位置づけられたこと」などが含まれています。

かつて、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長は、「温暖化を止める技術は、すでに人類の手の中にある。ないのはやる気だけだ」と述べました。現在の日本に必要なのは、まずは、本気で地球温暖化に向き合う「持続する志」なのかもしれません。

そこに、ERCMの果たす役割は大きいと思います。日本はイノベーションでもって地球社会に貢献できるのではないでしょうか。

2017年3月8・9日の両日で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2017東京」でも、リサイクルの視点でのセッションが開催され、興味深いものでした。

私たちは生きていく中でゴミを出し続けますから、有限な地球上で資源を活用していくためにリサイクルの考え方を捨てることはできません。イノベーションの力で生活環境・自然環境を創造する力を私たちはもっているのだと信じています。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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