国際NGO、三菱商事にサケ養殖場の計画撤回求める

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チリ最南端のスカイリング湾にあるセルマックのサケ養殖場 グリーンピース提供

環境NGOグリーンピースは、南米チリでサケ養殖場を新たに25カ所で設置する計画の三菱商事に対して、海洋汚染の懸念が高いとして設置申請の取り下げを求める署名運動をチリや日本で始めた。(オルタナ編集部=小松遥香)

新設予定地はチリ最南部のマガジャネス州で、グリーンピースがチリ水産庁から得た情報によると、国立保護区に指定されている地域も含む。現時点で世界で14万人以上の署名が集まっており、地元マガジャネス州もチリ政府に許可の一時停止を訴えている。

グリーンピースはすでに、サケ養殖業で世界第2位の三菱商事と同社の完全子会社セルマック(ノルウェー)に対して、署名運動の他に設置申請の取り下げの要請書を送った。要請書については、同じ地域に養殖場の設置申請を行っているスペインやドイツの養殖業者9社に対しても送ったという。

チリ産の養殖サケの約7割は米国と日本、ブラジルの3カ国に輸出され、日本の輸入量は全体の25%を占める(サケ養殖業者協会「サーモンチリ」調べ)。チリでサケの養殖が盛んになったきっかけは、1970年代からJICAが技術支援で養殖産業を根付かせたことだ。

サケ養殖の最大の問題は、使用される抗生物質の多さと養殖サケの死骸や飼料の食べ残しの堆積による海洋汚染だ。国際海洋保護団体「オセアナ」(本部・米ワシントン特別区)がチリで発表した資料によると、チリで使用される抗生物質の量はノルウェーで使用される量の最大500倍に及ぶという。

三菱商事・広報部は、今後の対応については協議中とし、「申請を出している地域はチリ当局が指定する養殖適格地域に位置している」と反論した。

その上で、「自然環境保全や食の安全確保のために各規制を遵守し、持続可能な養殖事業を展開している」と主張。さらに、「抗生物質の使用量も減らせるよう開発を進めている。すべてのステークホルダーの意見に耳を傾け、個社の努力はもちろんのこと、業界全体として対応を検討する必要がある」と説明した。

グリーンピース・ジャパンの小松原和恵・海洋生態系担当は、三菱商事から最初の返答を書面で貰っていると話し、「法律を守っていれば良いということではない。付近の海域には、絶滅危惧種のシロナガスクジラなど多様な生物が生息している。マガジャネスの自然は守られるべきものだ。さらには、企業だけの責任ではなく、チリ政府がそうした場所に養殖場の設置制限を設けていないことにも問題がある」と指摘している。

2017年4月13日(木)15:19

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