「寄付」も「投資」も社会変革への意志:村上世彰氏

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――寄付先のNPOに期待することは何でしょうか。

団体によって、仕組みや制度ができ、自分が問題視していた社会問題が解決される方向に向かうのならうれしいことです。例えば、ある一人のお子さんの移植手術のために寄付金を出すことは有意義なことですが、そうしたことをきっかけに将来の移植手術のために継続的に資金を集める仕組みを作ることが非常に大切です。

日本の非営利団体や社会貢献活動に最も必要なのは、「継続的に多くの人から寄付を集めることのできる仕組み」だと強く感じます。私はそこを支援していきたい。その仕組みが世の中に広がれば「応援してきて良かった」と感じ、それが寄付のリターンになるのです。私が興味を持つのは、このような「社会変革の連鎖」を生み出す活動なのです。

「村上ファンド」を率いていた当時と比べて柔和な表情になったが、時折厳しい表情も見せた

■NPOはプロセス明確に

――村上さんが関心のある社会問題は何でしょうか。

この分野にしか寄付をしない、と決めてはいません。社会課題が起きる要因と、取り組む団体のアプローチに共感した時に、寄付させていただいています。

私は、チャリティ・プラットフォームという自身で立ち上げた団体を通じて、NPO団体へ5億円を超える助成金を提供し、クラウドファンディングの先駆けであるジャストギビング日本版や、災害時の緊急即応をするCivic Forceなどの支援を行ってきました。こうした支援先は必死になって、寄付者側の要望に応えてくれようとしています。

――NPOにお金を出すだけでなく、事業計画なども厳しく見るのですね。

仮に30分、支援のために面談をしたらおそらく9割の人が私を嫌いになると思います。それは、NPOの管理体制が、私が求めるレベルまで達していなかったり、団体運営者にそうした管理が必要だという認識が欠けているからだと思います。

大切なお金を預かる以上、こうした管理能力は団体の継続的な運営において必須です。嫌われても構いません。私が支援したいと思うのは、現在の団体の運営について私に徹底的に否定をされても食らいついてくる団体だけです。

私は常に結果を求めます。NPOに求める結果とはお金儲けではなく、「どれくらい社会を変えられるか」です。社会を変えるためには、長期的な視点が必要なのは分かっているので、短期的な結果を出せなくても問題はありません。

しかし、その分、プロセスを明確にする必要があります。私は寄付も投資も自分が幸せな気持ちになりたいから行っています。「寄付をしてよかった」と思えればとても幸せですし、もっと支援したいという気持ちになります。

ですので、幸せになれるかどうかはかなり厳しく見ます。幸せとは、チャレンジできる状況にあることだと認識しています。私は過去には色々なことがありましたが、チャレンジをさせていただいた人間として、幸福感を持っています。

チャレンジすることで陰口を叩かれることもありますが、チャレンジをしないことは不幸せだと思っています。つまり幸せな社会とは、一人ひとりが考えて行動できる環境をつくることではないでしょうか。

村上世彰(むらかみ・よしあき):

1959年大阪府生まれ。1983年から通産省などで16年あまり国家公務員として勤務。1999年、退官してM&Aコンサルティング(村上ファンド)を立ち上げる。2006年にインサイダー取引容疑で東京地検特捜部に逮捕され、2011年、最高裁で懲役2年執行猶予3年、罰金300万円と追徴金約114900万円の有罪判決が確定した。2017年6月、自著『生涯投資家』(文藝春秋)を上梓。現在はシンガポール在住。


◆このインタビューの続きは雑誌オルタナ51号に掲載しています。「社会貢献活動に関心を持つことになった社会起業家との出会い」「日本に寄付文化を根付かせる方法」や「村上財団を立ち上げた経緯」、「ESGの潮流やこれからの資本主義」などについて聞きました。オルタナ51号特集は「戦略的寄付で課題解決に挑む」!今号の第一特集は「戦略的寄付で課題解決に挑む」です。日本の寄付市場は約1兆5600億円で、一人当たりの寄付額は2万7千円と、米国の約4分の1、英国の約3分の1にとどまっています。寄付は社会課題の解決に不可欠な武器ですが、戦略的な寄付について考察しました。富士山マガジンサービス、アマゾンのほか、書店でのお取り寄せも可能です。詳しくは⇒ http://www.alterna.co.jp/23248

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2017年12月20日(水)11:45

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