COP10、名古屋での協議難航か

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10月に名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて、カナダのモントリオールで開かれた国連作業部会が9月21日に閉幕した。COP10では生物資源の適正な利用を図る拘束力を持つ議定書作りを目指しているが、各国の利害が対立しており、交渉の難航が予想されている。

法的拘束力を持つ国際ルールとして「名古屋議定書」の締結を同会議では目指す。議長国日本は、会議成功に向けて難しい取り組みを迫られる。菅改造内閣で就任し、本会議の議長役を務める松木龍環境大臣は就任に際してのメディア合同インタビューで「議定書の重要性を各国に理解してもらうよう働きかける」と語ったが、難しい舵取りを迫られそうだ。

生物多様性条約は1992年のブラジルで行われた地球環境サミットで結ばれた条約で(1)遺伝資源の利益の公正な配分(2)持続可能な利用(3)生物多様性の保全、という3つの目的を持つ。現在193の国・地域が参加しており、2年に1回締約国会議を行ってきた。

名古屋では第1に利益の公平な配分を行う国際的枠組みを「議定書」の形で作る、第2に2020年の世界目標「戦略計画」を決定する、第3に遺伝子組み換え生物の利用によって生じた被害に対する「責任」と「救済」体制の確立という3つが議題となる。この中で最大の焦点が利益配分を巡る問題だ。

生物資源は、領内の熱帯雨林などに多数の生物が存在する途上国が多く持つ。一方、その利用や遺伝子の利用や開発による商品化は、先進国の企業が主に担う。特に遺伝子資源の医薬品分野での応用は近年目覚ましく、たとえばインフルエンザ治療薬「タミフル」は、中華料理で使う植物「八角」から抽出された成分をもとに開発された。利益を分配したい途上国と、それに制限を加えたい先進国間で利害が対立する構図にある。

現地からの報道によると、今回の作業部会ではアフリカ諸国が「遺伝資源を利用した『派生物』に利益配分を広げるべき」「植民地時代などに獲得された条約締結前の生物資源への適用」などと主張。EU諸国など先進国側は「これらを認めれば適用範囲が医薬品だけではなく、食糧品や衣類など広範なものに広がりかねない」と拒否して交渉が難航した。

妥協として、「派生物」という用語を削除する代わりに「遺伝資源の利用」という項目を設け、企業と原産国が契約を交わすことを義務付けることで一致した。ただし言葉の定義に曖昧さを残しており、最終的な決着には至っていない。(オルタナ編集部=石井孝明)9月22日

2010年9月24日(金)10:00

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